大阪地検は「サンドイッチ方式」を怠った~護送中に被告逃走の失態

小川 泰平 小川 泰平
護送中の被告は手錠を片方外して逃走した(jedi-asterstock.adobe.com.jpeg)
護送中の被告は手錠を片方外して逃走した(jedi-asterstock.adobe.com.jpeg)

  覚せい剤取締法違反(所持と使用)の罪などで公判中に保釈を取り消され、大阪地検が収容した大植良太郎被告(42)が9日に東大阪市内で護送中の車から逃走し、11日に身柄を確保された。大阪地検は10月30日にも無免許運転とひき逃げの罪で公判中の49歳女性被告に岸和田市内で逃走されたばかり。相次ぐ失態が批判されている中、元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は13日、当サイトの取材に対し、本来すべきである「サンドイッチ方式」を怠った点など護送中のミスを何点か指摘した。

 大植被告は覚せい剤取締法違反罪と大麻取締法違反罪で公判中だったが、大阪地裁岸和田支部(岸和田市)の判決公判に3回出廷せず、7日に保釈が取り消されていた。同被告は9日にワゴン車で護送中に「手錠が痛い」と大阪地検の係官に告げ、片方の手錠を外してもらった直後に暴れて車外に脱出。腰縄と手錠をつけた状態で逃走していた。

 小川氏は「3列シートのワゴン車で、3列目の最後列に大植被告と事務官、2列目に事務官、運転は女性の事務官。いずれも東大阪市内にある府警河内警察署前から、2キロ足らずの枚岡(ひらおか)警察署までの護送でした。そこに、いくつかの油断、間違いがあります。いくら、短距離の警察署間の護送とはいえ、保釈逃亡の被告人の護送に女性事務官を含めた3名で対応しているところです」と問題提起した。

 小川氏は「車での護送はサンドイッチ方式が基本。被告人を捜査員が両サイドから挟む形で護送するものですが、今回は最後列に被告と事務官(1人)が並んで座っていた。女性の被告人なら別ですが、男性の被告人、しかも薬物犯罪の被告に対してこれはありえない」と苦言を呈した。

 同氏は「警察官の場合、警察学校で、柔剣道を習い、全員が柔道の黒帯か剣道の初段以上で、逮捕術も習い、警察学校を卒業後も、年齢に関係なく、柔剣道、逮捕術の訓練は定期的に行われている。地検の事務官も形だけなら習っているのかもしれないが、素人同然であったと思われる。サンドイッチ方式で被告人を挟み、ドアにチャイルドロックを掛け、窓も運転席でロックを掛けておくべきものです」と見解を示した。

 さらに、小川氏は「腰縄は被告人のズボンのベルト通しに一部を通し、腰縄の先は事務官のズボンに結着されていなければならないのだが、それがなかった。手錠を外すことは、食事、トイレなど必要がある場合は一部を外すことができると規定されてはいるが、今回のような護送中に、片方とはいえ、外すことはまずない。距離からして数分でもあり、我慢させるべき」と訴え、「また、このような逃走の可能性が考えられる場合は、警察官の協力を得る必要があったと思われます」と付け加えた。

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