「W杯」使っちゃだめ? ラグビー日本大会盛り上げたいけれど… スポンサー権利侵害の恐れ

どなどな探検隊(パートナー記事)

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神戸の観光やグルメをPRする「TRY! KOBE」のバナー。全体は日の丸に、真ん中の赤い部分はラグビーボールに見える=神戸市中央区(撮影・鈴木雅之)
神戸の観光やグルメをPRする「TRY! KOBE」のバナー。全体は日の丸に、真ん中の赤い部分はラグビーボールに見える=神戸市中央区(撮影・鈴木雅之)

 ラグビー・ワールドカップ(W杯)日本大会が日本代表の白星発進で幕を開け、神戸市など全国の開催地で熱気が高まる中、観客らをもてなす飲食店や催しの関係者から「『W杯歓迎』と掲げちゃ駄目って、変では」との声が上がっている。大会名を使いたくても何かと制約が多いという。W杯を盛り上げたいのに、どうして?

 北海道ラグビー協会と北海道新聞は7月、第1回大会から取材を続けるスポーツライター藤島大さん(58)の講演会を札幌市で開いた。タイトルは当初「ワールドカップ日本大会に向けて」だったが、「藤島大さん講演会」に差し替わった。同市のW杯担当者から「『ラグビーW杯』は避けた方がいい」と求められたからだ。藤島さんの著書の宣伝と解釈される恐れがあるという。

 ここまで神経質になるのは、大会資金を拠出するスポンサー企業の権利保護のため、大会名やロゴの無断使用が禁じられているからだ。主催するラグビーワールドカップリミテッドは、ロゴやマスコットなど21件を日本で商標登録。W杯開催地付近の商店街やイベント会場で「ラグビーワールドカップ」と掲げるだけで商標権侵害に当たる可能性がある。

 大会名やロゴの無断使用は「アンブッシュ・マーケティング(不正便乗商法)」と呼ばれ、1984年のロサンゼルス五輪以来、国際スポーツ大会で規制され、強化されてきた。

 こうしたルールについては、実は日本大会の組織委員会内部でも微妙に見解が割れる。法務部は「W杯を関連付けたり、想起させたりする広告・営業活動は該当する」。一方で「大会が盛り上がればスポンサーの利益にもなる」(幹部)と柔軟な声も聞かれる。

     ■

 W杯の開催地では、あの手この手の工夫が見られる。神戸市では、大会名やロゴを使わずにまちの魅力を国内外のラグビーファンにPRしようと、観光やグルメ情報を英語と日本語で紹介するサイトを「TRY! KOBE(トライ! コウベ)」と名付けた。サイトのURLが入った同じデザインのバナーも、神戸・三宮の地下街に掲げる。

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