化粧品の購買プロセスが激変…スマホが必須、ユーチューバーの発信を参考に

最新流通論

渡辺 広明 渡辺 広明

 流通アナリストの渡辺広明氏が「ビジネスパーソンの視点」から発信する今回のテーマは「化粧品の購買プロセス」。購買意欲を誘うメディアが、雑誌からスマホの動画へと移り変わっていく時代を検証した。

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  お客さまの購買心理プロセスは"AIDMA"。商品の存在を知る(Attention)、興味(Interest )、欲求(Desire)、記憶(Memory)、最終的に購買行動(Action)が基本でしたが、ネット社会のイマ、検索(Search)、購買後の共有(Share)が加わり、少し複雑になっています。

 特に、トレンド重視の化粧品の購買プロセスはここ数年で激変。大量のテレビCMや女性誌の掲載を見ての購買きっかけも、今は昔。テレビを見る人の減少もあり、2000年代はネットで口コミや日本人が大好きなランキングのアットコスメ(@コスメ)が主流となりました。

 化粧品会社に勤めていた僕はこのサイトで評価され、有料ですが商品に推奨のシールを貼ることをブランド開発の目標としていました。ここ数年は運営者の思いも届かず、コメントのサクラ業者が出てきてイタチごっこもあり、少しずつ人気に陰りが見えてきました。

 近年ではLDKという雑誌がその座を奪いつつあります。従来の女性誌はメーカーからサンプルを借り、記事を書くというスタイルでしたが、LDKはメーカーの広告を入れず、自ら店頭から商品を購買、ハイブランドからプチプラコスメ横並びでガチで評価するのが人気となっています。3月には数値的検証を加速するラボを立ち上げ評価の平等性を追求。雑誌の読み放題も人気を後押ししており、記事別ランキングでも常に上位に登場しています。

 LDKと併用してインスタグラムの#検索で口コミを確認するという方法を取る女性も多く、スマホの活用は購買決定に必須となりました。

 動画を視聴、ユーチューバーのおススメを買うという若い女性も出てきています。聞いてみると、「動画はスマホをスクロールしないで見られるので面倒くさくなくて良い」「口コミを見るといろんな意見があり混乱する。だから信頼するユーチューバーを参考にするのが間違いない」との事。52歳のオヤジの理解を超えつつある、マーケティングとは奥深い。

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