流通アナリストの渡辺広明氏が「ビジネスパーソンの視点」から発信する「最新流通論」の今回は「緊急事態宣言のランチ」がテーマ。コロナ禍に伴う外出自粛や休業要請で大きな影響を受けた外食産業。その形態がどのように変わり、新たな取り組みが出てきているのか。その実情をリポートする。
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5月31日まで緊急事態宣言が延長されたものの、既に同宣言が解除された39県を中心に段階的に様子を見つつ経済活動が動き出しつつあります。
ただし、自宅勤務のステイホーム状態が長く続いている事で消費スタイルが少しずつ変化しています。特にエッセンシャルワーカーの妻が仕事に行ってしまっているランチは、子供たち含め自宅にいる僕の係となり、日々、テイクアウトを近所に買い行く「ウーバーお父さん」 と化しています。
最初のうちは、近所のコンビニ・スーパーやファストフードなどで買っていましたが、今まで持ち帰りに対応していない近所の飲食店で応援の意味も込めて買うことが増えました。
人気のカジュアルイタリアレストランのピザとかパスタは、たまに頼む宅配ピザよりも安く、料理長が作った出来立ては家族にも大好評でした。
汁物のため宅配の対応が少ないラーメンは人気の横浜家系ラーメンをテイクアウトしてみたのですが、歩いて15分の店で買ったため麺が伸びてしまって不評だったりと、買う方も売る方も試行錯誤が続いている状況です。
お店でしか食べられないものが家で食べれるようになるのはうれしいので進化を期待です。実験的にウーバーイーツでも牛丼チェーンに牛丼と弁当を3つ頼んでみました。
20分後に程なく届いたのですが、お店の人が別のお客の商品を配達員に渡してしまったようでキャンセルになってしまいました。その後どうしても食べたくて自転車で同じものを買いに行きました。ウーバーイーツの宅配ではサービス料229円、この時の配達手数料が209円で計2809円のお会計でした。お店ではテイクアウトキャンペーンをやってる事もあり、同じものを買ったら1600円。単価の低いテイクアウトをしているファストフードの持ち帰りは少しぜいたくなんだなと、改めて再認識しました。
今後、女性の社会進出や高齢者の単身世帯が進行し、家庭内調理の内食需要の落ち込みが予想され、持ち帰り外食や宅配は、新しいスタイルが確立され、中食の王者だったコンビニ・スーパーの強力なライバルとなりそうです。