マネキン、ガイコツ、便器…寿司店の上に異空間 京都「カオスの間」…あるじのクセも相当強い!

樺山 聡 樺山 聡
入り口で出迎えるマネキン。古くもなく、新しくもないサングラスが何とも言えない(京都市左京区)
入り口で出迎えるマネキン。古くもなく、新しくもないサングラスが何とも言えない(京都市左京区)

 「何年か前から始めたんやけど、ネットで広まるようになって今はひと月に50人ぐらいかな。最近は札幌やら新潟やら全国から、ここをメーンに京都に来る若者もいる。今の人は物じゃないんやな。どこにもない体験や情報を求めている。それでも、見せてるだけじゃ食えへんから、入場料で500円を取るようにしたんや」。京都の「異空間」は金閣寺や清水寺を差し置いて、じわじわと全国の若者諸君を引き寄せているのか。それにしても、このあるじは何者なのだろう。

 「出身は京都やで。これでも同志社大の法学部で政治経済を勉強したんや。京都の繊維関係で会社員したけど倒産してな。50ぐらいの時かな。一時は別の事業して、ここで陶芸教室もしたけど、うまいこといかんくて、もっとおもろいことをと思った時、ほら、アートって高いやん。その敷居を取っ払ったろうと思ってな」

 他人の尺度ではなく、自分の感性で「ガラクタ」に新たな価値を見いだし、命を吹き込む。京都の異分子に見えて、これが案外、とても京都的な場所とも言えるのかもしれない。

 夢があるのだという。「見いだした若い芸術家を海外に売り出していきたいな」。今も部屋の一番奥にあるスペースを別の若者が運営する「ギャラリー逢ノ世」に貸している。「外国の人はこういうのを喜んでくれてな。安部公房の…」。古希にして熱い思いをたぎらせるあるじは、先ほど聞いた世界観を繰り返しながら野望を語った。普通の観光では飽き足らない人を、空間とともにクセの強い主人が待っている。

 「カオスの間」は京都市東山区三条通白川上ル石泉院町394。問い合わせは075(762)5255。

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