訪日観光客の急増に伴い地元の苦情が相次ぐ京都市東山区の祇園で、マナー厳守を呼び掛けようと、祇園町南側地区協議会がシール仕様の啓発ステッカーを制作した。観光客に配布して持ち物に貼ってもらい、順守を徹底させる。
高札を描いたイラストに「舞妓・芸妓に無断で触れる」「路上に座る」「自撮り棒の使用」など6項目のマナー違反を日米中の3カ国語で記した。舞妓や提灯のイラストを周りにあしらった。高札部分は以前からある絵を転載し、舞妓や提灯は京都女子大生活デザイン研究所(同区)の学生がデザインした。
祇園町南側地区は四条通以南の花見小路通を中心に古都の風情が残るしっとりとした街を形成する。ところが、4、5年前から、観光客が道幅いっぱいに歩く、芸舞妓と無理矢理写真を撮る、私有地に入るなど「観光公害」が深刻化。同研究所がデザインしたしおりや短冊付き提灯を配り、高札を掲出してマナー向上を訴えてきたが、観光客の急増に追いつかず、迷惑行為は悪化の一途をたどる。
「デザインの力を借りて、粘り強く啓発を続けるしかない」と同研究所の出井豊二副所長(70)。5月14日は、花見小路通で協議会員や舞妓、京女大生、東山署員ら約20人がマナーアップキャンペーンに取り組み、ステッカーを観光客に配った。今後も配布を続ける。