国宝犬山城をはじめ見どころの多い愛知県犬山市。天下の名城に負けじと人々を引き付けるカラオケ喫茶がある。昭和42(1967)年にオープンした「パブレスト百万ドル」だ。外観を見てほしい。あまりにもぶっ飛んでいる。
玄関には「愛は流星キラキラ光輝く未来」という、オーナーにして美術アーティストである大澤武史さん(77)の、言葉が掲げられる。外観には「2020TОKYО」の文字。聞くまでもなく非公認に違いない。不思議な引力に吸い寄せられるように、まさに全国から客が訪れる。
ある人はなんと自転車で千葉から来店。「3日かけてきました」と笑顔で話す。魅力を解明しようと、勇気をもって入店。靴を脱いで上がると、たくさんの絵、写真が飾られている。赤いソファが置かれ、ミラーボールの下にはカラオケが鎮座する。「うちはカラオケ(1曲100円)を歌ってもらわないと利益がでないから」と大澤さん。
それもそのはず、同店は「一日中モーニング」がウリ。ブレンドコーヒー(500円)といったドリンク類をオーダーすれば、団子、スイカ、ソフトクリーム、アイスキャンデーが次々と出てくる赤字覚悟のサービスで知られる。
店は25歳の時に開業し、業態を変えながら現在のスタイルに行きついた。転機は、大澤さんが筆を取り出した62歳の頃だ。奥様や子どもと離れて暮らすことが決まり、寂しさを紛らわせようと我が子の肖像画を描いた。以来、楽しさに目覚め、キャンバスをはみ出し、店の外観にまで描いてしまった。
絵を描きながら、来店客のありがたさも実感した。離れる人がいれば、店を訪ねてくれる人もいる。たくさんの食べ物が出てくるのは、そんな感謝のおもてなし精神が結実したものだ。
記者の目の前にも、気付いたら団子やスイカがこんもりと盛られ、客が歌う「六本木ララバイ」が耳に届く。大澤さんの「愛」を具現化させた異空間。一度は訪れるべき、愛と夢のパワースポットだ。
おすすめニュース
気になるキーワード
新着ニュース
- 『虎に翼』猛暑に苦しみ、1人居残りでワイヤーに吊られて…“炎上”のハイキングシーンは極限ロケ 花岡悟役・岩田剛典がふりかえる
- 【大河ドラマ「光る君へ」コラム】清少納言も驚き呆れた? 御嶽詣に派手派手しい衣で参拝した藤原宣孝
- 大地震や気象災害が発生したら? 新生活・一人暮らしのスタートに必見 抑えておきたい防災ポイント
- 黒だらけに混じる、1歳娘のピンク靴…帰宅する度に夫婦でキュン 「彩りが加わる世界」「ちゃんと並べてて偉い」
- 「街のゲーセン」に淘汰の波…売上100円あたりの利益は平均「6円」 倒産件数は過去5年で最多に
- 「子どもが病気でピンチ」ワーママのあるある動画が再生回数170万超え→「分かりすぎて涙が出てくる」「100万いいねしたい!」
- ADHDやうつ病乗り越え…渋谷のリアルヒーローに! アラサー会社員、コスプレでゴミ拾いを続ける理由とは?
- ナミ、ロビンの声がしばらく変わってた!? ご長寿アニメならでは『ONE PIECE』で見られた「声優の一時交代」
- 停電の夜、外に出てしまった飼い猫 一週間彷徨い無事捕獲 飼い主に抱きしめられて申し訳なさそうな表情に
- 表層雪崩とは?雪崩の発生しやすい時期や場所 危険が迫っている斜面の見極めかた