鉄道車両を真っ昼間の道路で輸送!?なぜ、わざわざそんなことを…

 そして、イベント当日。普段なかなか見ることのできない光景を求めて地元の人だけでなく鉄道ファンなど全国から約3万人が集まった。「イベントの開催前は実際にどれぐらいの人が集まるのかがわからない状態でしたが、当日になってみると思いのほか集まって」。そう話すのはプロジェクトの実行委員会広報担当の山下圭三さん。ただでさえ車両の陸上輸送を日中行うことはありえないのに、さらに一般道を封鎖しての大規模なイベントとあって「安全面に十分な配慮をしない限り、次はないと思った」と振り返る。

 その後「もう一度車両の陸上輸送を目の前でじっくり見たい」という反響がある中、2度目の開催への後押しとなったのは、日立製作所が受注した英国向け完成車両の生産が終盤に近づいたこと。「Class800シリーズ」の陸上輸送は今回の完成分でいったん終了となり、同様のイベントを今後開催することは難しくなる。海外向け車両の陸上輸送は、地元の産業が世界へと羽ばたく姿を子どもたちへ見せることができる得難い機会だ。

 そこで、前回は下松市の主催だったところを産官民が協力して盛り上げる体制に変更。市だけでなく地元の企業、そして地域住民や全国の鉄道ファンの力をクラウドファンディングという形で借り、安全面も含め、前回よりも実施体制を整えてイベントを再度開催することとなった。

 クラウドファンディングでは支援者へさまざまなリターンが用意されている。「Class800シリーズ」オリジナルのグッズや今回のイベントの様子を収めた写真集やDVD、地元の特産品など。中には新幹線の先頭車両に使われるものと同じ技法で作られた記念プレートといった鉄道ファンには垂涎(すいぜん)の逸品も。

 一番の目玉は5万円の特別観覧席チケット付きコース。日立製作所笠戸事業所内に特別に設置された観覧席から、完成車両が英国へ向けて運び出される様子を見学、撮影できるというものだ。このコースを申し込んだ支援者からは、子どもと一緒に参加して鉄道産業の魅力に触れたいとのコメントも寄せられている。

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