「軽自動車のナンバーは黄色だと思っていたのに最近、なぜ白色が走っているの。白ナンバーは普通自動車と思われており、事件などの110番通報で誤認通報はないの?」。こんな疑問が京都市北区の女性(41)から京都新聞社の双方向型報道「読者に応える」にLINEを通じて寄せられた。「白地ナンバー」の軽自動車が増えている背景や、誤認通報などがないのかを、取材した。
客観性重視 110番では尋ねません
町中でも時折、白地ナンバーの軽自動車を見かける。一見、普通自動車と思ってしまう。最近、社内で「軽だったんですか。白ナンバーなので普通車だと思ってました」と同僚が電話で話しているのを聞いたことがある。取り締まる側の警察官で、軽の白地ナンバーがあることを知らない人もいた。どれだけ広まっているのだろう。
京都府内のナンバー交付業務を行う府自動車整備振興会(京都市伏見区)に行って話を聞いた。軽自動車の白地ナンバーは、ラグビー・ワールドカップ(W杯)と東京五輪・パラリンピックのそれぞれの開催を記念し、2017年に普通車とともに導入された図柄入り特別仕様ナンバープレートだ。いずれも白地で、エンブレムだけのものと、カラーの図柄入りと2種類ある。9千円ほどの費用がかかり、図柄入りはさらに寄付が必要になる。
エンブレムはプレートの右上に小さくあしらわれるだけだ。見かけはほぼ白で、圧倒的にこちらを選ぶ人が多いという。特に五輪・パラのエンブレムは目立たず白に近く、最も人気が高いという。
府内の5月末までの軽自動車への交付状況は、ラグビーW杯仕様が8217件で、うち8割以上の6849件がエンブレムだけだ。五輪・パラ仕様では1万2095件のうち9割以上の1万1215件がエンブレムのみだ。滋賀県でも軽の白地ナンバーは計1万5157件交付され、うち9割以上の1万3795件がエンブレムのみだ。
なぜ軽自動車のナンバーを白色にしたいのか。同振興会の清水正・標板業務部長は「軽自動車だとあおられたりすることもあるため、一目で軽とは分からないようにしたいようだ。また、ボディーカラーとの相性から白にしたい人もいるのでは」とみている。
通報での誤りはないのか。110番受信を担当する京都府警通信指令課の白数秀樹次席によると「受信の際は、車の色や車種、ナンバーの数字など客観的なことを確認するようにしている。軽乗用車かどうかは通常尋ねないので、誤った通報はこれまで聞いていない」という。
また、同振興会によると、導入当初は駐車場や有料道路の料金所などで普通車の料金を取られそうになったケースを聞いたことがあるという。
一方、タクシーなど事業用の普通車が白地ナンバーを導入した場合は、緑色ナンバープレートから、白地に緑の縁取りのあるものになる。
近畿運輸局によると、白地ナンバーのタクシーを見た人から「(無許可営業の)白タクではないのか」という問い合わせが寄せられることもあるという。
2年前にハイヤー約80台にラグビーW杯仕様を導入したMKタクシー(京都市南区)は「W杯を盛り上げるために導入した。まぎらわしいという話は聞いたことはあるが、白タクと間違えられたことはない」という。
同振興会によると、個人タクシー事業者で、白地ナンバーだとプライベートでも使いやすいとして特別仕様にする人がいるという。しかし、最近は「白タクに間違えられて町中で手を上げてもらえない」と、10台ほどが通常の緑色ナンバーに戻したという。
(京都新聞「読者に応える」から)
▼どなどな探検隊 パートナー協定について
まいどなニュースはオンデマンド調査報道の充実に向けて、西日本新聞、東京新聞、京都新聞、中国新聞、テレビ西日本、琉球新報と連携協定を結んでいます。「どなどな探検隊」に寄せられる調査依頼や内部告発のうち、取材対象地域外に関するものなどは各社と情報を共有。西日本新聞の「あなたの特命取材班」、東京新聞の「ニュースあなた発」、京都新聞の「読者に応える」、中国新聞の「こちら編集局です あなたの声から」、琉球新報の「りゅうちゃんねる〜あなたの疑問に応えます」の記事を相互交換し、ウェブサイトに随時掲載します。