大阪・梅田の地下街でおよそ半世紀にわたって待ち合わせ場所として親しまれた「泉の広場」の噴水の撤去作業が9日に始まった。撤去作業見学会・お別れセレモニーが行われ、関係者や抽選で選ばれた一般の利用者らが出席。最後の姿を目に焼き付けた。少年をかたどった噴水は役割を終えたということで、今後、処分されるという。
泉の広場は地下街「ホワイティうめだ」の一角にある。同地下街は1963(昭和38)年、前身の「ウメダ地下センター」(通称・ウメチカ)として誕生。「憩いの場がほしい」という声を受けて、大阪万博が開催された1970(昭和45)年に「泉の広場」が完成した。以後、半世紀近く、複雑に入り組んだ地下街の中で“待ち合わせ”場所として多くの人たちに親しまれてきた。
見学会に参加していた西宮市の男性(57)は「昭和のアナログの時代から、デジタルへ移行した平成をまたいで令和になったこの時に広場がなくなる。時代を象徴しているように思います。新しくなったこの場所にまた来てみたいですが、今は寂しい気持ちの方が大きいですね」と名残惜しそう。
東大阪市の男性(49)は「小さい頃、『泉の広場上がってスグ』という病院のテレビCMがよく流れていて、大人になって初めて来たときは『ここが泉の広場か』とうれしかったですね(笑)。飲み会の待ち合わせに何度も利用しました」。