大阪・梅田の地下街「ホワイティうめだ」（大阪市北区）の２期エリアのリニューアルに伴い、５月９日に撤去される「泉の広場」。撤去を前に５日、ファイナルイベントが同所でおこなわれ、大勢の人々が別れを惜しんだ。
参加者は、「泉の広場」についての最後のメッセージを書き込んだカラーボールを噴水に浮かべ、「長い間ありがとう、お疲れさまでした」「高校生のとき友だちと待ち合わせによく使ってたよー」など、それぞれの思い出を振りかえっていた。１９時には１０００個の思い出ボールが投げ入れられたという。
１９７０年に誕生した「泉の広場」。各駅を結ぶ地下通路や地下街が複雑に連結しており、１日約４０万人が訪れ梅田地下街で、「泉の広場」は待ち合わせスポットとして半世紀以上にわたって親しまれてきた。過去に３度の改装をしており、「地下街は味気ない」という声を受けて天井にシャンデリアが設置された初代は、完成当初は泉へのコイン投げが多く、そこで集まったお金を「赤い羽根共同募金」に寄付していた。
デザインが時流に適していないとの声が上がり、１９８１年に改装された２代目は、白を基調としたさわやかなデザインと鏡面加工が施されたステンレスを天井に敷き詰め、広場全体を明るい印象に。そして２００２年に完成した現在の３代目は、大理石でできた噴水や床のモザイクタイルもすべて大阪市の姉妹都市・イタリアで制作され、神秘的な雰囲気からゲームになぞらえて「梅田ダンジョンのセーブポイント」という異名も生まれた。
また、「地下街は季節ごとの自然の移り変わりがなく無機質で、広場もただの通り道として認識されがち」（大阪地下街株式会社の担当者）という理由から、ハロウィンやクリスマス、お正月など季節ごとに、大阪らしいド派手な装飾が施され撮影スポットとしても愛されてきた。
スマートフォンの普及により、待ち合わせの名物スポットが続々となくなっているが、「『泉の広場』は噴水の撤去後も、人々が集う場所として１１月にリニューアルオープン予定です」（担当者）と、「泉の広場」という名称はそのままに、フルカラーＬＥＤ照明とステンレス鏡面仕上げをした枝と葉で、水をイメージした生命の木「ＷＡＴＥＲ ＴＲＥＥ」（仮称）を表現。床には水面が揺らめき、季節やイベントに合わせて演出を変えていくという。空間演出は映像やプロジェクションマッピングのクリエイティブカンパニーであるネイキッドが手がける。
