サッカー日本代表がMF本田圭佑の同点ゴールでロシアW杯・H組のセネガル戦で2-2と引き分け、貴重な勝ち点1をもぎ取った。決勝トーナメント進出に前進した大一番を終えた25日午前2時頃から東京・渋谷のスクランブル交差点周辺には数百人のサポーターが集まり、厳戒態勢を敷く警察官の監視をよそに、路面で飛び跳ねながら「オー、ニッポン」の大合唱や、横断歩道でのハイタッチを何度も繰り返した。
その熱気は午前3時を過ぎても続いた。「スクランブル交差点で騒いでいる人は真のサッカーファンではない」という声もあるが、実際のところはどうなのか。熱狂する集団にもみくちゃにされながら、日本代表のレプリカユニホーム姿で喜ぶ人たちを直撃すると、その答はしっかりした思いに貫かれていた。
まずは本田に対する賛辞が圧倒的だった。
20代の男性は「7年間の苦労が詰まった素晴らしい同点ゴール。日本の誇りです。決勝トーナメントに進んで、初戦で対戦する可能性のあるベルギーに勝って、優勝して欲しい」とエール。21歳の男子大学生は「しびれました。本田選手には神様が味方している。短期決戦は勢いのあるチームが強い。次のポーランドにも勝てると思います」と確信した。
さらに脇役に注目する人も。20代の会社員男性は「セネガル戦のヒーローで、影の立て役者は長谷部選手だと思います。トップ下で司令塔として活躍してくれた」と絶賛しつつ、「岡崎選手はケガでフル出場は無理な状況ですが、苦しい戦いになるであろう次のポーランド戦で結果を出してくれると信じてます」と期待を込めた。
若者だけではない。渋谷でイベント会社を経営する53歳の男性は「私が会社を立ち上げたのがJリーグ元年の1993年。今の快進撃がJリーグ25年の節目に重なって感慨深いものがある」と語り、MF香川真司のユニホーム姿で若者とハイタッチを繰り返した。
女性も多かった。21歳の女子大生は「サッカーの試合を見るのは初めて。すごかった」と興奮しつつ、「サッカーは何人でやるか知ってる?」という記者の質問に、「え~っと…。知らない。でも、楽しかったよ」と笑顔。そういう初心者をトリコにする力が、今の日本代表にはある。
午前4時前、さすがに交差点の騒ぎも落ち着いてきた。ハチ公前には始発電車を待つ人たちが座り込み、日本が属するH組の勝ち点勘定をしていた。“にわか”と言われて仕方ない部分もある半面、老若男女がサッカーに夢中になる至福の時間を満喫している。W杯初出場から20年。名実ともに4年に1度の祭りとして日本に定着したということだろう。