人間と視線を合わさない野犬 初めての共同生活で少しずつ開いた心 「うちにおいで」の吉報が届いた

松田 義人 松田 義人

「私ならいませんよ」

保護当初、こんなふうに頭を隠し、人間といっさい目を合わせてくれなかった真っ白の元野犬のなずなちゃん。2024年5月に行き場を失っているところを静岡県の保護団体・スリールが保護しました。

野犬だった犬は、他のワンコとのコミュ力抜群の一方、人間には極めて怖がる傾向がありますが、なずなちゃんは生後1歳未満にして、すでにこの傾向がありました。

優しい先住犬たちに受け入れられ次第にリラックス

保護後しばらくはケージの隅に縮こまり、目も合わせてくれませんでしたが、団体と提携する預かりボランティアさんのお世話を受け、たっぷりの愛情を受け、少しずつ少しずつ心を開いてくれました。

それは預かりボランティアさんの家にいる先住犬たちに興味を示し始めたこと。最初は遠くから様子をうかがうだけでしたが、しばらくすると「遊んで」とアプローチ。優しい先住犬たちはなずなちゃんを仲間に入れてあげるようになりました。

なずなちゃんは「縦社会」に従順。「先住犬のほうが自分より立場が上」と理解し、トラブルを起こすようなことはありません。こうしたなずなちゃんは、先住犬たちの間でも信頼されるようになったのか、一緒に遊ぶ仲間となっていきました。

お散歩練習はお漏らしの連続

家庭犬としてのトレーニングを実施するべく、なずなちゃんは散歩に挑戦。しかし、ハーネスと首輪をつけただけで脱糞とお漏らし。なんとか抱っこして庭に出すと、隠れられる場所を探して暴れます。

当初はそんな日々でしたが、毎日続けると外の世界に少し慣れたのか、庭に出ても落ち着けるようになりました。

いよいよ散歩に出発することになりましたが、今度は見慣れない車やバイクが苦手で、逃げ出そうと強い力で引っ張ります。預かりボランティアさんは「クルマをまずは遠くから見て馴れさせよう」と工夫し、この繰り返しで、人間社会での散歩をなずなちゃんに覚えてもらえるように接しました。

ついに吉報が届いた

スリールに保護され4カ月ほどが経過すると、なずなちゃんはすっかり環境になじんで、かわいい笑顔を見せてくれるようになりました。

保護当初の「私ならいませんよ」状態から思えば、大きな大きな成長です。あとは「本当の家族との出会いを待つだけ」と団体では考えていましたが、ついに「うちにおいで」の吉報が!

里親希望の夫婦はとても優しい方で、なずなちゃんの性格やここに至るまでのバックボーンを理解した上で「その全てを受け入れたい」と言ってくれました。トライアルに際しても、なずなちゃんに合わせたベッド、手作りゲートをはじめいくつもの「なずなちゃんグッズ」を用意して、温かく迎えてくれました。

当初はケージに引きこもり、トイレ以外は動かないなずなちゃんでしたが、ご夫婦の愛情を受け、少しずつ心を開き始め今ではリビングに出てきておもちゃで遊んだりくつろいだりするようになりました。

ビビリで慣れるまで時間がかかる元野犬のなずなちゃんですが、それでも優しい夫婦の「家族」となることで、今後さらに心を開いて幸せな毎日を送ってくれることと思います。なずなちゃん、本当に良かったね。優しい夫婦の元でいつまでも幸せにね!

スリール〜犬達の幸せ探し〜
https://sourire-hogoinu.jimdofree.com/

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