「甘い味 感動届ける マスカット」―。岡山県が誇る農畜水産物を題材にしたカルタ「おかやま農福カルタ」が完成した。制作したのは、岡山の専門学校生と障害者アーティスト。果物や鮮魚、野菜の特徴を親しみやすく伝え、繰り返し遊ぶ中で農業や地域の恵みに関心を深めてもらう狙いだ。
絵札と読み札は「あ」から「ん」までの46種類。このうち「う」の札は「うららかな 瀬戸内の海から 春運ぶ」とし、春が旬のサワラが生き生きと泳ぐ姿を描いた。「お」の札は「岡山の ニラといえば 黄色だよ」。県特産の黄ニラと生産者をほのぼのとしたタッチで表現している。
読み札を作ったのは、岡山情報ビジネス学院(岡山市北区駅元町)の2年生約50人。各地の生産者を訪ね、農畜産品の特徴や栽培の過程に耳を傾けながら、札の文言を練り上げた。
企業商品の広告デザインなどを手がける就労継続支援B型事業所「カモノハシ」(同楢津)が制作を引き継ぎ、障害のあるアーティスト約20人が画材やタブレット端末などを使って絵札を描いた。
制作に携わった岡山情報ビジネス学院の上田舞花さん(20)は「読み札には生産者の思いを込めるなど工夫した。かわいらしいイラストとともに注目してもらえるはず」と仕上がりを喜ぶ。
カルタ作りは、一般社団法人・デザインゴールズ(同所)が主導した。同法人は、農水産業者らから商品パッケージなどの制作を受託し、障害者アーティストの作品を採り入れる取り組みを進めてきた。高橋京恵代表理事は「アートを通じ、岡山の農業や漁業に関心を持ってもらう機会をつくりたかった」と話す。
障害者の活躍の場も広がると考え、専門学校のほか、学生の取材に応じるなどした県内22事業者の協力も得て完成にこぎ着けた。
カルタの名前には、障害のある人をはじめ多様な力を農業に生かす「農福連携」への思いも込められている。協力事業者の一つで、農福連携に長く取り組むイチゴ栽培のおおもり農園(岡山市中区兼基)の大森一弘社長は「農作業の機械化は進んでいるが、なお人の手が欠かせない。障害がある人、ともに作業をする事業者の双方が農福連携に理解を示し、関係が深まるきっかけになれば」と期待を寄せる。
9月9日、岡山情報ビジネス学院で完成発表会が開かれ、関係者がカルタの出来栄えを確かめた。県備前県民局の地域づくり支援事業に採択されており、岡山、玉野市など同局管内の7市町の小学校や県立図書館などに贈る。