「これを見ただけで豊橋市民だと分かる」——そんな言葉とともにXに投稿された、謎のハサミのような道具の写真が話題を集めました。その独特なビジュアルから、正体が明かされるまでの間、「見たことのない刃物は、たいてい拷問に使われるやつ」「どう見てもケジメをつけるやつ」など物騒な想像をかきたてるコメントが続出し、ネット上は大喜利状態に―。正解が「うずら卵を割るための専用器具:うずらカッター」だと分かると、驚きの声が広がりました。
投稿したのは豊橋出身の男性、そーすぃさん(@sousui99_m)。この「うずらカッター」は、卵の上部を穴に入れてハサミと同じ要領でカットすることで、きれいに殻を割ることができる専用器具です。メーカーによって名称はさまざまですが、うずらの生卵の殻を割ることに特化しています。
豊橋市民の間でなじみ深い背景には、地域のうずら卵生産量の多さがあります。豊橋市は全国シェア50%以上を誇るうずら卵の産地で、学校給食に登場するのはもちろん、授業で地域の名産品として学ぶ機会もあるといいます。そーすぃさん自身も、実家にうずらカッターがあったため、子どもの頃から存在を知っていたそうで、「お蕎麦屋さんで、ざる蕎麦を頼むとほぼ必ずうずらの卵が付いてきて、このうずらカッターも一緒についています」と話します。
他地域では卵があらかじめ割られた状態で提供されることが多く、この道具を目にする機会自体が限られているようです。
「他地域の方でも『知ってる』という方がそれなりにいましたが、ほとんどは飲食店の勤務経験がある方で、見たことがないという方が多数でした。うずらカッターが一家に一つというのは、やはりこの地域独特のものだと再認識しました」
うずらカッターは近年、漫画『だもんで豊橋が好きって言っとるじゃん!』(だもとよ)への登場をきっかけに注目度が高まり、アニメ『負けヒロインが多すぎる!』(マケイン)の人気も追い風となって、豊橋の文化全体への関心が広がっているといいます。
「愛知県の文化ではよく名古屋が取り上げられることが多いですが、豊橋を含めた東三河地域は名古屋とは違う独自の文化があります。豊橋カレーうどん、なめし田楽などの美味しい料理をはじめ、ブラックサンダーの工場見学ができる施設や路面電車、動物園・博物館・植物園・遊園地が一体となった『のんほいパーク』など、多くの魅力がある街です。『だもとよ』や『マケイン』の聖地巡礼はもちろん、作品をご覧になっていない方もぜひ豊橋に足を運んでみてください!」