浄水場でも利用されている「鉄バクテリア」
ただし、人体には無害だが、「茶褐色の沈殿物が排水管に詰まるなど、悪影響があるのも事実」と小林さんは言う。
「経験的に、鉄バクテリアの多いところでは水生昆虫や魚類がやけに少ないように感じます。皮膜が水面を覆って酸欠になりやすいのでは?という話も聞きますが、もし詳細な研究がされているのであれば、自分もぜひ知りたいです。一方、鉄バクテリアの生態を利用した除鉄効果に関する研究もあり、京都の浄水場では鉄バクテリアの特徴を生かして『地下水の鉄分を取り除く』という面白い利用がされています」(小林成彦さん)
「鉄バクテリア」撮影中に、絶滅危惧種を偶然発見!
小林さんはご家族と共に山村に移住して9年目。以前にも今回と同じく、「鉄バクテリアの被膜」を撮影した動画をXの固定ポストに投稿。その動画には、撮影中に偶然発見したという、絶滅が危惧されている水草「スブタ」の貴重な姿も収められている。
「動画の最後に映っている、線形で半透明のような葉を何本も伸ばしているのが『スブタ』です。トチカガミ科の植物で、かつては水田で普通に見られたようですが、現在は絶滅危惧Ⅱ類(VU)に指定されています。鉄バクテリアの動画を撮影していたところ偶然この種が生えているのを発見し、舞い上がってしまいました(笑)。何せ当地に移住して丸8年、見つけることが出来なかった種でしたので」(小林成彦さん)
小さい頃から生き物が大好きだったという小林さん。「多種多様な生き物とばったり出会うことのできる山の暮らしは最高です」と、語る。
「今回投稿した鉄バクテリアもそうですが、様々な生き物の形態や生態の面白さを観察できること、さらに生き物ごとに生息する環境も異なり、そういった場所を探検できるのも魅力です。自分の場合はパソコン画面で編集する時間の多い仕事ですので、こういった自然を楽しめる時間を挟むことで、心や身体のリフレッシュにもなっています」(小林成彦さん)