新卒の面接では採用されたいため、しっかり作り込んだ自己PRを用意するものです。しかし予想していない質問をされた時、答えに悩んだ経験も少なくないでしょう。吉谷光平さんが投稿した作品『テンプレ就活生を追い込む面接官の話』はそんなビジネスの冷徹さと、面接の裏側に隠された本質が鮮やかに描かれています。
それは、とある企業の二次面接会場でのことです。自分の強みを流暢に、よどみなく語る学生を前に、面接官の玉木は「早く仕事に戻りたい」と憂鬱な気分になります。朝から晩まで、どこかで聞いたような「つまらないガキの話」を聞かされ続ける時間は、彼にとって地獄そのものでした。玉木は、面接官をやりたがる人間は現場で仕事ができない無能だと切り捨て、内心で毒づいています。
そんな彼はふと、上司である吾妻課長の「何人落としても構いません。方法は君に任せます」という言葉を思い出しました。この言葉を後ろ盾に、玉木は意気揚々と自己紹介をしていた学生たちに対し、マニュアルには絶対に載っていない質問「今すぐ100万円つくれる?」を投げかけます。
この予想外の問いに、学生たちは一転してパニックに陥ります。必死に絞り出した答えは、「たくさん稼ぎます」「消費者金融で借ります」「追加取引を交渉します」といった、どこか浮足立ったものばかりです。どの回答も、ビジネスの最前線に立つ玉木の心には響かず、次々と「不合格」の烙印が押されていきます。
昨今の就活市場には対策があふれ、AIや模範解答を丸暗記すれば、誰でも「完璧な就活生」を演じることができます。しかし、玉木はそんなものに意味はないと感じ、「演技ができないように追い込めばいい」という答えを導き出したのでした。テンプレートを剥ぎ取り、その奥にある「地頭」や「本質」を暴き出す。それこそが、玉木の質問に込められた狙いだったのです。
読者からは「この面接炎上しそうな気がするんだが」や「このボールペンをどうやって1万円で売るかに通ずるものがある」など、さまざまな声があがっています。そんな同作について、作者の吉谷光平さんに詳しく話を聞きました。
AI時代の今であっても、面接の本質は変わらない
ー「今から100万作れる?」で合格できるラインは、どのような回答だと思われますか?
実際の業務として捉えているか。間違っても行動できるか。という点をこの面接官は見ていました。彼の独断です。
ー吉谷さんが日常で、「これはAI(テンプレ)だな」と違和感を抱く瞬間はありますか?
AIでつくった文章かどうか、面接での言葉と文章が全然違う。ということはあると思います。しかし、練習を積めばその違和感は面接の時間程度では分からないと思います。
ー就活の面接ではどのようなところが見られるのでしょうか?吉谷さんが就活生だった頃と何か違いはありますか?
AIの登場、売り手市場、ITサービスの進化によって選択肢が増えた、などの変化はあると思いますが、本質は変わらないと思います。
<吉谷光平さん関連情報>
▽『今どきの若いモンは』連載サイト(サイコミ)
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▽電子書籍『今どきの若いモンは』(Amazon)
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