東京・神奈川は他の県より3〜4%ほど物価が高い…なぜ?
それぞれの都道府県においてモノの価格がどのくらい異なるかは、物価水準を見れば分かります。全国平均と比べると、東京都は4%、神奈川県は3%ほど物価が高い傾向にあります。一方、群馬県、宮崎県、鹿児島県などは全国平均と比べて4%ほど物価が低いです。
物価水準が高ければ、他の地域と比べて実質的な年収が下がります。同じだけ収入があっても、物価が高ければ購入できる商品が少なくなってしまうことを意味しているのです。逆に、物価水準が低ければ、実質的な年収は上がります。実質的な年収で東京・神奈川と茨城・愛知・大阪とで差があまりなかった理由は、東京・神奈川の物価水準が他の県より高かったためです。
なぜ、東京都や神奈川県は、他の都道府県より物価水準が高いのでしょうか。大きな原因は、住宅費と教育費にあると考えられます。住宅の価格を見てみると、東京都は全国平均と比べて27.2%も高いです。神奈川県も11.2%上回っていました。また、教育サービスの価格は、東京都が9.3%、神奈川県が9.2%、それぞれ全国平均より高い水準です。ちなみに、教育サービスの価格は関西エリアでも高くなっています。大阪府で22.3%、京都府で15.1%、兵庫県で14.9%と、いずれも全国平均を大きく上回っていました。住宅や教育サービスの価格が高いことが、東京や神奈川の物価を引き上げ、実質的な年収を下げる大きな要因だと考えられます。
都会か地方か、どちらが生活しやすいかは、住宅・教育サービスにどれだけ支出する必要があるかで大きく変わってくるでしょう。
たとえば、子育て世代の家庭が、マイホームを検討していたり教育への支出が必要だったりするとしましょう。こうした家庭は、東京のような都市部から地方へ移動すれば、生活水準を高められると考えられます。住宅費や教育費の負担が軽くなれば、同じ年収でもより経済的に余裕のある生活ができるからです。一方、子育てが終わっていたり、持ち家がすでにある世帯は、都市部から地方へ移動してもさほど生活水準は高くならないでしょう。仕事の選択肢や公共交通機関が多いことを考えれば、都市部に住むメリットは大きいと言えます。