ひとり親家庭を対象としたフードバンク事業『グッドごはん』を運営する認定NPO法人グッドネーバーズ・ジャパン(東京都大田区)は、このほど「子どもの長期休み期間中における食生活」に関する調査結果を発表しました。同調査によると、学校給食のある期間と比べ、「1日2食以下」の子どもの割合が、長期休み期間中には約3倍へ増加するなど、十分な食事をとることが難しい状況に陥るひとり親家庭の実情が明らかとなりました。
調査は、同事業を利用する首都圏(主に東京・神奈川・埼玉・千葉)、近畿圏(主に大阪・京都・兵庫・奈良)、九州圏(主に佐賀・福岡)在住の学校給食がある子どもをもつひとり親2158人(「ひとり親家庭等医療費受給者証」を有する保護者)を対象として、2024年3月にインターネットで実施されました。
調査の結果、「学校給食のある期間中における、子どもの1日の標準的な食事回数(学校給食を含む)」について、「2回以下」と回答した人の割合は12.7%。これに対し、「学校給食のない長期休み期間中における、子どもの1日の標準的な食事回数」では、3倍以上増え、42.9%が「2回以下」と回答しました。
そのうち、「1回」と回答した人の割合に着目すると、学校給食のある期間の0.4%に対して、長期休み期間では17倍以上にも増加し6.9%に上ることが明らかになりました。
また、「長期休み期間中に子どもの食事回数が減る理由」としては、「経済的に余裕がなく、家庭で十分な食事を用意することが難しい」(30.0%)と「時間に余裕がなく、家庭で十分な食事を用意することが難しい」(28.2%)で6割近くを占めました。
回答者からは、「子どもたちに食べさせるため、長期休み中は仕事中に食べる小さなおにぎり一つに留めている。子どもたちも1日1食の日が多くなり、お腹が空いて寝られないと言われる日も…子どもが死んでしまわないか、こわい」「親が我慢することで何とかここまで持ちこたえているが、病気になったり予定外の出費(家電が壊れるなど)が出たりしたらと思うと心配で余計辛くなる」「長期休み中はいつも以上にお金がかかるので十分な食事を作れない。我慢ばかりさせて申し訳なくなり自分の分も子どもに食べさせている」といった厳しい現状がうかがえる意見が寄せられています。
続けて、「長期休み期間中の食生活において、子どもや保護者自身が困った経験や不安に思うこと」について、自由記述で答えてもらったところ、「栄養バランス」が頻出する単語として抽出されました。
さらに、「子どもの長期休み期間中、食べる量が大幅に減るもの」を尋ねたところ、「魚」(68.2%)や「野菜」(60.0%)などが高い割合で選択されました。
回答者からは、「値段の事を考えてしまうとお米でお腹一杯にしてもらうしか出来ず、栄養のバランスは二の次」「給食は栄養バランスのとれた食事なので同じようなものは家では難しい」「肉、魚、野菜、乳製品、卵は激減する。給食で栄養バランスをとっているので、急激に炭水化物のみになってしまう」「自分の食事量とおかずを減らし子どもに回す。給食のようにバランスの良い食事を作ることより、コスパ重視」「炭水化物多めの食事になってしまい、便秘気味にさせてしまうことが多々あり、申し訳ない」などの声が寄せられ、値段の安さを優先せざるを得ない状況が浮き彫りとなりました。
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調査を実施した同法人は、「健やかに成長し、生きる権利をすべての子どもが持っています。生きることに直結する『食』の安心が家庭環境により左右されることは、見過ごしてはならない課題です。未来の社会を担う子どもたちの成長を支えることは、私たちが将来生きる社会を守ることにもつながるため、今の社会全体で子どもたちを育み見守ることが大切であると考えます」と述べています。