家事と仕事の両立…シングルファーザーが「特に手がかかる」と感じているのは「料理」 父子家庭の実態調査

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全国のシングルファーザー107人に父子家庭の現状について聞いたところ、8割以上の人がシングルファーザーになったことで「仕事に影響や変化があった」と回答しました。また、家事と仕事を両立する際に、特に手がかかると感じているのは「料理」が最多だったそうです。

株式会社NoFrameが一般社団法人ひとり親支援協会の協力のもと、2022年4月~5月の期間に、ひとり親交流サークル「エスクル」会員の父子家庭の世帯主の人を対象に「シングルファーザーの現状についての調査」として実施した調査です。

はじめに、「シングルファーザーになったことで、仕事への影響や変化はありましたか」と聞いたところ、82.2%の人が「影響や変化があった」と回答。具体的には「3交代勤務・夜勤のある働き方を、通常時間勤務に変更してもらった」「これまでより拘束時間の短い職場に転職した」「会社の主力となる業務を避け間接業務が主となった」「在宅勤務を増やし、重要ポストや昇進を諦めざるを得なくなった」「子供の進学する高校に近い営業所への転勤を認めてもらった」「家庭を最優先にできる部署へ異動した」「家族に何かあった時など休みなど取りやすくなった」などが挙げられました。

ちなみに、全回答者の転職経験については「0回」(72.5%)、「1回」(17.6%)、「複数回」(9.6%)となっていたそうです。

続いて、「毎月の総勤務時間数の変化」を聞いたところ、72.5%の人が「変化があった」と回答。そのうちの9割以上の人が「総勤務時間数が減少した」と回答したそうです。

また、「毎月の収入の変化」については、「少し減少した」(29%)、「大幅に減少した」(20%)を合わせると、49%の人が「減った」と回答しました。収入が減少した理由については、「残業・出張が無くなった」「勤務時間の減少」「子供関係で休みを取ることが増えた」「転職した会社の方が年収が低い」「評価される業務に携われなくなった」などが挙げられたといいます。

さらに、現在の職場において、「シングルファーザーに対しての理解度」を聞いたところ、77%の人が「理解がある」と回答。具体的には「コロナ前から他の人に先駆けて在宅勤務を基本とする勤務体形を認められていた」「学校行事に融通して頂いてる」「欠勤、遅参、早退への理解」「定刻通りに帰宅できる」などが挙げられました。

一方で、「職場の理解がない」と回答した人からは、「社内で前例がほとんどない」「シングルファーザーとなったことを職場に伝えれば確実に不利益があるため、伝えていません」「業務量は減ったものの、部署異動はなく、やむを得ない場合出張、残業をしなくてはならない」「何をやっても評価されなくなった」「休日当番があるが、免除にはならない」などのコメントが寄せられたそうです。

次に、「お子さんは習い事・塾などに通っていますか」と聞いたところ、51%の人が「通っていない」と回答。その理由として、「送迎が困難」「宿題をサポートできない」「準備や手続きを行う余裕がない」「費用の捻出が難しい」という声が多く挙げられたといいます。

また、「お子さんの性教育」については、60%の人が「難しいと感じている」と回答。そのほか教育に関する悩みや意見として、「進学費用が心配」「子どもの不調を相談する人が周りにいない」「ひとりで叱ることとその後のケアを1人でしなければいけないところが、一番難しいと感じる」「普段の宿題を見届けることができない」などのコメントが寄せられたそうです。

続いて、「家事と仕事を両立する際に、特に手がかかると感じているもの」を聞いたところ、「料理」(67人)、「掃除」(14人)といった回答が上位に並びました。手がかかる理由については、「栄養の偏りや、献立のマンネリ化が心配」「帰宅してから作るのが大変」「時間が足りない」「掃除は元々不得意ですぐに散らかる」などのコメントが寄せられました。

また、「過去にシッターサービス、家事代行サービスの利用有無」については、91%の人が「利用したことがない」と回答。なお、今後、生活関連サービスに求めることとして、「『父子家庭』『子どもの学年』などの条件別でどのようなサービスがあるのか、とにかく情報が欲しい」「栄養バランスを考えられた配食サービスがあれば利用したいが、子どもによって食べる量が全く違うため、年齢性別に合わせてボリューム量を調整できないと使いにくい」「家事代行サービス等を利用したいと思っても、費用面で継続して利用することができない。補助があれば助かる」「自分に何かあっても生きていけるように、炊事洗濯などの日常生活の相談できる所があれば有り難い」などの回答が寄せられました。

他方、現在のサービスへの意見としては、「申込や手続き、利用方法が煩雑だと、かえって負担が増えるので利用しようと思えない。電話受付が平日9時~5時までだと、仕事中のため架電できない」「銀行や行政の窓口を夜間や休日でも使えるようにして欲しい。引っ越し手続きのために、仕事を何日か休まなくてはならなかった」「地方なので家事代行サービスがなかなかない」「有料なら意味がない、使わない」「国が用意しているひとり親家庭等生活支援事業を市が採用しておらず利用できない。地域によって差があるべきではないと思う」などが挙げられたといいます。

シングルファーザーが抱く不安について、「ひとり親での育児に不安を感じていますか」と聞いたところ、78%の人が「感じている」と回答。また、「どのようなときに不安を感じますか」と聞いたところ、「自分自身の体調が悪化したとき」(61人)、「子どもの将来を考えたとき」(57人)、「孤独を感じたとき」(50人)といった回答が上位に並びました。

さらに、「周囲の理解が足りないと思ったことはありますか」と聞いたところ、「ときどきある」(42%)、「よくある」(32%)を合わせて74%の人が「理解が足りないと感じたことがある」と回答したそうです。具体的には、「『母子家庭』向けの行政の支援や情報は多いが、『父子家庭』は対象外となっていることが多い」「『シングルファーザーは子育てをしっかりしていない、祖父母に任せっきり』という先入観を持たれている」「親戚や職場の人から『男のくせに家事、子育てをして情けない』と言われた」「母親には認められている仕事の業務調整が『男親だから』という理由でシングルファーザーには認められない」「親権の裁判時に『なぜ男なのに引き取りたいのか?』と言われた」などの回答が寄せられたそうです。

最後に、「現在の父子家庭への支援制度の満足度」については、「満足していない」(27%)、「あまり満足していない」(10%)、「満足している」(18%)、「やや満足している」(19%)、「どちらとも言えない」(26%)という結果に。また、「実際に利用したことがある支援制度」は、「上下水道の減免制度」(44人)、「医療費支援制度」「児童扶養手当」(いずれも42人)と続きました。一方で、「より手厚い支援が必要だと感じていること」としては、「児童に関する手当」(61人)、「学費補助」(58人)、「税金の減額」(56人)といった回答が上位に並びました。

ちなみに、「このような支援があれば嬉しい・過去にあればよかった」という支援としては、「カウンセリング」「グリーフケア」「子どもの心のケアができる場所」「家事、料理の相談先」「仕事の紹介、交流」「給食費のサポート、中学校の給食支援」「同じような境遇の方々とのコミュニケーションの場」「遺族年金」「各種制度の収入制限の撤廃」「年収ではなく、子どもの年齢・人数に応じた支援」などの回答が寄せられたといいます。

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調査を行なった同社は「孤独を感じやすく、精神的な不安を抱えやすい育児中には、各家庭にあわせた情報提供、サポートが必要であると感じました。また、子どもの将来を支える、学費支援や医療費補助も求められています」と述べています。

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