パッケージが江戸時代の駕籠(かご)を模してあり、箸がかき棒状の四角い筒の中に入っている。黒で重厚感のある容器の側面には御簾(みす)や家紋が描かれ、忠実に再現されている。掛け紙には長崎までの宿場がその特徴とともに描かれ、そのイラストが愛らしい。長崎街道は小倉と長崎間57里(約228キロ)に25カ所の宿場があって、鎖国時代の重要な海外からの文明ロードだったとも表記されている。かき棒の中に入った竹の箸を取り出し、江戸時代にタイムスリップした気になって2段になった弁当の中身を確認してみた。
上の重にはおかずがぎっしり。うぐいす豆、カボチャ煮、ニンジン煮でカラフルに信号色を形成。味には甘みがあって統一されている。
椎茸煮は、だしがよく染み込んでいて柔らかく、どこか懐かしい味だ。
白身魚のフライ、鶏唐揚げ、卵焼き、かまぼこが同居するゾーンはタンパク質エリア。別添えのウスターソースをかけると白身魚のフライはおいしさが引き立つ。
しば漬け、青菜のお浸しは歯応えで野菜を感じ、いい箸休めとなっている。
下の重は東筑軒さんお得意のかしわめしが、お花畑のように広がる。鶏肉とガラでしっかりスープをとり、さらに門外不出の調味料を足して炊かれたご飯は、それだけ食べてもうまい。その上に刻みかしわ、錦糸卵、ノリが斜めに敷き詰められていて、センターに紅ショウガがのる。どこから食べても想像を裏切らない味で、間違いなくおいしい。
おかずが満載で、お得感いっぱいの駅弁だ。
1400円。鹿児島本線・小倉駅「㈱東筑軒」☎0936012345