パッケージに百年駅弁とプリントされ裏側に一口ばなしが書かれている。中でも「大正10(1921)年当時、神奈川県の鯵(アジ)の漁獲量が金額換算で47万2341円で日本一」と掲載されているというところに意外さと驚きを感じた。調製の大船軒がこの駅弁を大正2(1913)年に販売開始し109年も経過しているのも歴史だ。中鯵を使用とあるので30センチくらいの鯵を寿司にしたもよう。魚好きには、お土産にしても喜ばれる駅弁だ。
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ふたを取ると酢のいい香りが鼻奥をくすぐり、銀色の皮目が鮮やかな鯵の押し寿司が8カン入っている。あとは醬油と甘酢ショウガだけという、寿司店で持ち帰りを頼んだときの折り箱のようだ。
容器に経木を使用しないことで酢飯のくっつきを防いだのだろうか。
まずは何もつけずにそのまま食べてみる。酢で締めた鯵がさっぱりとした爽快感とうま味で濃いめの酢飯と一緒になり、1センチくらいの皮目の歯応えが口の中を楽しませてくれる。よくかむと皮下の脂がじわっと主張してきて、薄すぎず厚すぎずのネタもちょうど良く、後味にほんのりと甘みが残るのもうれしい。
醬油をつけてみたが個人的には何もつけない方が鯵本来のうまさがより伝わって、おいしいと感じた。
甘酢ショウガも箸休めに一役買って出て、最後まで飽きずに食べることが出来ました。
1080円。東海道本線・熱海駅「(株)大船軒」TEL0120・014541