ダイエット目的で糖尿病治療薬を使用 豊田真由子が医薬品の適応外使用に警鐘 春から市販の内臓脂肪減少薬にも懸念

「明けない夜はない」~前向きに正しくおそれましょう

豊田 真由子 豊田 真由子

新発売の市販薬について

今年の春に、日本初の内臓脂肪減少薬(「アライ」)が、薬局・ドラッグストアで市販される予定ですが、本剤は、慎重に販売する必要がある「要指導医薬品」とされていますので、販売に際しては、薬剤師が購入者の提供する情報を聞くとともに、対面で、書面にて当該医薬品に関する説明を行うことが義務付けられています。

服用の要件として、「腹囲が男性85センチ以上、女性90センチ以上で、糖尿病や脂質異常などの健康障害がない18歳以上」で、あくまで食事や運動といった生活習慣の改善を助ける補助的な使用であり、購入者は「購入前3カ月以上の生活習慣改善の取組みと、購入前1カ月の生活習慣と腹囲や体重を記録」し、薬剤師は上記の購入条件を満たす人にだけ販売する形を取ります。糖尿病などの健康障害を有する人は、医師による治療の対象となるため、この薬の対象外です。

適正使用が守られるよう、製薬会社は、購入前に投与の対象となるかを確認できるチェックシートを作成し、eラーニングによる研修を受けた薬剤師のみが販売に従事できることになっています。

「アライ」は、食事で取った脂質が小腸で吸収されるのを妨げ、脂質は便として排出されるという作用のため、副作用として、便を伴う放屁、油の漏れ、軟便等の消化器症状が、45.0%の方に出現しています。

元々、米国で1999年に医療用医薬品として承認され、医療用では120カ国以上、OTC医薬品としても70カ国以上で使われてきていますが、医療用医薬品としてのプロセスを経ずに、日本でOTC医薬品として承認されるまでには、紆余曲折がありました。

適正に使用されること、肥満症というほどではないという方は「アライ」で状況を改善し、そして、必要な場合にはきちんと医療機関の受診につながっていく、という「OTC医薬品としての役割」がしっかりと果たされることが望ましいと思います。

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年齢とともに代謝が下がり、運動しなきゃと思いつつ踏み出せない己を省みて、情報が氾濫する中で、原点に戻って、食生活や運動等の方法で、心身の健康を維持していくことの大切さも、しみじみと思う次第です。

また、本稿では触れませんでしたが、やせる必要がないのに、「もっとやせなきゃ」と思い悩む、そして「やせ過ぎ」による心身の健康被害といった深刻な状況もあり、世の中のいわゆる『ルッキズム』のもたらす弊害の大きさを、改めて思います。

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