「早期退職優遇制度」で後悔しないために…知っておきたいリスクとデメリット “最悪のケース”想定して準備を【FPが解説】

FPオフィス「あしたば」 FPオフィス「あしたば」

昨今、勤務先の「早期退職優遇制度(もしくは希望退職制度)」の利用を検討する会社員の方が増加しているように感じます。FPとして早期退職にまつわる相談を受けることがありますが、特にコロナ禍以降は顕著に件数が増えています。

通常の退職年齢になる前に資産をつくり、早期に引退することを目指す「FIRE」というライフスタイルに関心が集まっている影響もあるかもしれません。以前は当たり前だった「定年まで勤めあげる」ことを、労働者側も企業側も望まないケースが増えてきたからではないでしょうか。

ただ、早期退職制度の利用にあたっては様々なメリットがある一方で、当然デメリットや注意点もあります。40~50代の方でゆくゆく(orすぐにでも)早期退職制度を利用したいとお考えの方は、ぜひご参考にしてください。

 早期退職制度を利用するデメリット

・収入が無くなるor不安定になる可能性がある
・将来の年金が減る可能性がある
・ローンが組めないor組みづらい状態になる可能性がある
・社会との繋がりが無くなる可能性がある
・再就職できない可能性がある

…ザっと列挙すると以上ですが、1つ1つ見ていきましょう。

収入が無くなるor不安定になるリスク

早期退職優遇制度(または希望退職制度)を利用すれば多くの場合、割り増しの退職金を受け取ることができますが、当然ながらこれまでの給与は得られなくなります。

早期退職して完全にリタイアするのであればそのまま労働収入はゼロになりますし、フリーランス等で独立・起業する場合は不安定になる可能性が高まります。

自分が望む別の企業への転職を目指す場合でも、それがうまくいく保証はありません。

言われなくても当たり前の話ではありませんが、この「収入が無くなるor不安定になるリスク」は、早期退職の最大のデメリットと言うことができますし、しっかりとした準備と覚悟がいることは改めて認識しておきましょう。

将来の年金が減るリスク

会社員や公務員が加入する厚生年金は、国民年金と比べて多く年金を受給できる仕組みです。

早期退職して完全リタイアしたりフリーランス・個人事業主になった場合は、厚生年金ではなく国民年金に加入することになりますから、定年まで会社員で厚生年金に加入する場合と比べて確実に年金額は減少します。

また、厚生年金は収入(報酬)が高いほど将来の年金額が増える仕組みなので、早期退職して別の会社に転職した場合でも、収入が減るとほとんどの場合は年金額が減少します。

この点はあまり認識していない人が多いので、注意するようにしてください。

ローンが組めないor組みづらい状態になるリスク

ローンを組むには、「与信」という金融機関から見た信用力が必要になります。

上場企業やそれに準ずる中堅企業・老舗企業の社員、公務員は、この与信が高く金融機関からお金を借りやすい=ローンが組みやすい属性です。

逆に無職、フリーランス・個人事業主、中小零細やスタートアップの社員(経営者も含む)は、一般的にお金を借りづらくなっています。

早期退職する前に住宅ローン等を組んでいればそれ自体は問題ありませんが、早期退職後にリフォームや住み替えのためのローンを組もうと思った時、審査に通らない(組むことができない)可能性は十分にあると言えるでしょう。

早期退職により十分な退職金を得られて入ればローンを組む必要がなくなる場合もあるでしょうし、気にし過ぎなくて良いケースもありますが、リスクとしてしっかり認識しておいたほうがベターです。

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