36歳男性「妻と子どもの3人家族。貯金ゼロですが、生活できているので、特に問題だと思っていません」…FPが訴える“将来に備える必要性”

福永 涼子 福永 涼子

人生の「3大支出」を知っておきましょう

生活していく上では日々の生活資金も重要ですが、長い人生の中においては「3大支出」と呼ばれる大きな支出があり、時間をかけて準備したいお金です。それは「教育資金」「住宅資金」「老後資金」の3つです。

▽教育資金

相談者さんには現在3歳のお子さんがいらっしゃいますが、子どもが産まれてから社会人になるまでに必要な教育資金は、最低でも1,000万円と言われています。

幼い頃から水泳やピアノ、サッカー、英会話教室などの習い事から始まり、年齢が上がると学習塾通いや部活動なども加わり、大学受験の時期を迎えます。仮に大学に進学しなくても留学や専門学校へ進むなど一定の教育費はかかると考えられます。

相談者さんは、現時点では子どもにはあまりお金がかかっていなくてピンとこないかもしれませんが、教育費が一番大きくかかる時期というのは決まっています。それは高校卒業前後の18歳の頃で、その時期は受験に向けての塾通いや受験費用および大学の学費、場合によっては一人暮らしのための引っ越しや生活資金も必要になるからです。

その時期を目指して、教育資金は400万円を目標に準備したいところです。4年ほど前の筆者の体験談ですが、我が家の娘には高校3年の1年間の塾費用だけで100万円、大学受験期の約4カ月の間だけで130万円(受験費用、大学入学金等)かかり、まさに娘が18歳の時に計230万円の支出が発生しました。その後も4年間の学費の支払いが続いています。

子どもの教育費は、必ずかかるものであり必要な時期もある程度決まっています。2人目・3人目のお子さんも考えられている場合は、その人数分が必要になることも覚えておきたいです。

▽住宅資金

いつかはマイホームを購入したいと思う人もいれば、生涯、賃貸で過ごす考えの人もいるでしょう。いずれにしても人生の中では大きな支出となるのが住宅費用です。

仮に、マイホームを購入する場合、マンションか戸建てかによって、また地域や広さによっても価格は異なりますが、「フラット35利用者調査/2021年度」(住宅金融支援機構)によれば、購入価格の全国平均はマンションが最も高く4528万円、最も安いのが中古戸建2614万円でした。地域で比較すると首都圏が高い傾向で、2023年1月~6月の新築分譲マンションの平均価格(不動産経済研究所)は8873万円、東京23区に至っては1億円を超えている状況です。

相談者さんは「とりあえずその時に住める場所があればいい」と、一生賃貸で過ごすことを考えられているかもしれませんが、その場合でも一定の家賃支出が生涯続くことになるため、現役期と比べて収入が減少するであろう老後も、同等に負担し続けなければならないことを覚えておきましょう。

▽老後資金

老後資金については、一概に必要な金額はいくらですと決まっているわけではありません。公的年金や退職金などの収入から足りない部分について準備したい資金になるので、人によって金額は異なります。場合によっては、年金収入で日々の生活費は賄えるため老後資金は少なくても問題ないというケースもあるかもしれません。

ですが、日本人の平均寿命(2022年)は女性が87.09歳、男性が81.05歳となっており、今後も老後生活は長くなる傾向にあるため、その分、使うお金も増えることが予想されます。相談者さんにとって老後はまだ遠い先の話と感じるかもしれませんが、老後を迎える間際に「お金が足りない!」と慌てて、そこから貯め始めても間に合いません。今からできる備えとして、少額でも貯める意識は持っておきたいところです。

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