北陸新幹線 敦賀延伸後も米原ルートは健在 名古屋への大切な足 敦賀~東京間タイムは米原経由に軍配

新田 浩之 新田 浩之

2024年3月16日に北陸新幹線が福井県の敦賀駅まで延伸します。これにより、福井県と首都圏が一気に近くなるわけです。では、北陸新幹線が金沢駅止まりである現状において、福井駅から首都圏へはどのようなルートが考えられるのでしょうか。また、過去にはどのような列車が運行されていたのでしょうか。

福井駅から首都圏へは米原ルートが便利

福井駅から首都圏へ鉄道でアクセスする場合、2通りのルートが考えられます。ひとつは北陸新幹線金沢駅経由、もうひとつは東海道新幹線米原駅経由です。

前者は福井駅から金沢駅まで特急列車に乗り、金沢駅で北陸新幹線に乗り換えです。後者は滋賀県の米原駅を利用します。金沢駅から北陸本線回りの特急「しらさぎ」に乗り、米原駅で下車。同駅で東海道新幹線に乗り換えます。

利便性の比較では、米原ルートの方が便利です。日中時間帯ですと米原ルートは約3時間30分、運賃は「ひかり」・普通車指定席利用で14920円(通常期)、北陸新幹線ルートは約4時間、運賃は16340円(通常期)です。

北陸新幹線が敦賀駅まで延伸すると、福井~東京間は最短2時間51分で結ばれることになり、福井駅から首都圏へは北陸新幹線ルートが便利になります。

国内最速の特急列車が走った米原ルート

ここからは昔の時刻表を見ながら、米原~福井間の特急列車の歴史を振り返っていきましょう。現在、金沢~米原~名古屋間は特急「しらさぎ」に統一されていますが、約30年前はバラエティ豊富でした。

1987年5月の時刻表を見ると、米原駅発着の特急は「加越」、名古屋駅発着の特急は「しらさぎ」と別々の列車でした。

特急「加越」のデビュー年は湖西線(山科~近江塩津)が開業した1975年のこと。湖西線は関西~北陸間のメインルートになりましたが、引き続き首都圏~北陸間の橋渡しとして米原ルートは必要不可欠な存在でした。そのため、米原駅発着の特急列車の本数を確保するため、「加越」が誕生したのです。

地味な印象がある「加越」ですが、実は国内で一番速い特急列車だったことも。1978年10月のダイヤ改正により、東北本線の特急列車がスピードダウン。その結果「加越5号」が表定速度86.1km/hでトップに躍り出ました。

金沢~米原間の速達特急「きらめき」

1988年3月ダイヤ改正により、金沢~米原間に新たな特急列車が生まれました。その名は「きらめき」、「加越」の速達版という位置づけでした。

当初の停車駅は福井駅のみ。つまり、福井~米原間はノンストップでした。登場時のダイヤは金沢駅7時25分発、米原駅21時12分発と、ビジネスパーソンを強く意識。車両も従来の特急列車をリニューアルした「きらめき」専用車両を用いしました。

「きらめき」の登場により、福井駅から東京駅までの所要時間は「加越2号」利用と比較すると14分短縮の3時間35分になりました。

このように米原経由のルートをてこ入れしましたが、金沢以東は上越新幹線の長岡経由の方が利便性が優れていることもあり、「きらめき」「加越」の利用は伸び悩むことに。1997年3月には北越急行が開業し、上越新幹線越後湯沢駅から金沢行きの特急「はくたか」が誕生しました。

同時に「きらめき」が廃止となり、2003年10月ダイヤ改正では「加越」が「しらさぎ」に統合される形で廃止となりました。

敦賀~首都圏間は延伸後も米原ルートが有利

敦賀延伸後も北陸から名古屋への足を確保するために、敦賀~米原〜名古屋間の特急列車として「しらさぎ」は存続します。また敦賀延伸後も現行のダイヤですと、敦賀~東京間の所要時間は米原経由の方がわずかに短いです。

新線開業に翻弄されてきた米原ルートですが、北陸新幹線敦賀延伸後も変わらぬ存在感を発揮しそうな気配です。

おすすめニュース

気になるキーワード

新着ニュース