「どうやって入れたの?」「まさか西日本と東海対決?」…新大阪駅のコンコースに、ダイハツ・スズキの車が展示されているワケ

平藤 清刀 平藤 清刀

JR新大阪駅の構内は、在来線と新幹線のエリアに分かれている。在来線のJR西日本エリアには、大阪府に本社を置くダイハツ工業の車。新幹線のJR東海エリアには、静岡県に本社を置くスズキの車が、それぞれ展示されている。西日本と東海で棲み分けを意識したのか、車をいつ、どうやって入れるのかを双方の担当者に聞いた。

在来線・JR西日本エリアには「ダイハツ」

JR西日本のエリアに初めて車が展示されたのは、2004年10月のこと。なぜ車を展示することになったのか? ダイハツ工業の宣伝室が、次のように答えてくれた。

「JR往復特急券とレンタカーがセットになった『Fきっぷ』とタイアップして、新大阪駅構内の在来線乗り換えコンコースにダイハツ工業のコペンを展示しました。JR西日本とFきっぷでのタイアップのため、在来線エリアでの展示となっています」

コペンが展示された理由は、レンタカーでコペンが借りられるようになったからだという。

「タイアップにより、レンタカーとしてコペンをお選びいただけるようになりました。駅貼りのキャンペーンポスターやほかの広告物でも、コペンが紹介されておりました」

それ以来、新型車が登場したタイミングで展示車輌を入れ替えて、今に至っているという。

「入れ替えの頻度は、年に4回程度です」

現在は、4月末にTantoと入れ替えたばかりの「Tanto CUSTOM」が展示されている。

新幹線・JR東海エリアには「スズキ」

一方、JR東海側のエリア、すなわち新幹線の改札を抜けて奥へ入ると、スズキの車が展示されている。

スズキの広報部によると、浜松駅にも車を展示しているという。

「新幹線駅構内での展示は、弊社の地元浜松駅でも行っており、お客様への有効なアピール手段と考えます。新大阪駅でも、1987年より展示を行っております。また、展示場所については、お客様にアピールできる箇所をJR東海様へ相談した上で選定しています」

展示の期間については「不定期」で、「新商品PRのタイミングで入替を行うことが多いです」とのこと。

JR西日本は大阪府池田市ダイハツ町に本社があるダイハツの車、JR東海は静岡県浜松市に本社があるスズキの車を展示して、うまく棲み分けているような印象を受ける。あらかじめ両社で申し合わせたのかと思っていたが、違っていたようだ。

スズキの広報担当からは「他社様の事情についてはわかりかねますが、先ほどお答えした通り、新大阪駅(JR東海)の構内での展示が、お客様への有効なアピール手段であると考え、実施しております」とのことだった。

どこから入れてどこを通ってくる?

車が展示されている場所へは、いずれも改札を通らないと入れない。ふだん駅を利用している印象では、大きな通路があるようにも見えない。新大阪駅のどこから車を入れて、どこを通ってくるのだろうか。

これにはJR西日本コミュニケーションズが答えてくれた。

「セキュリティ保持の都合上、お答えいたしかねます」

いわれてみればその通りで、外部から駅構内への侵入経路になりかねないため、明らかにできないという。

だが、スズキの広報担当が、差支えのない範囲で教えてくれた。

「駅付近まで車輌を運送し、終電後の駅構内を、安全を確保しつつ手押しで運び込んでいます」

終電が出た後、人気がなくなった構内で、車の入れ替え作業が行われていたのだ。

新大阪駅を利用するときは、そうした作業に携わった人たちの苦労に想いを馳せてみてはいかがだろうか。

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