「シェイクは氷を溶かすな」→いや、溶かすべき バーテンダーが実証実験「シェイクすれば口当たり柔らかくなる?」定説を検証

中将 タカノリ 中将 タカノリ

実験後も論文を読んでいるのですが、アルコール濃度が高いとエタノールだけでクラスターを作ったり、エタノール分子が多いクラスターが安定したりするようです。アルコール度数30〜60%でのデータがあるので、加水されてアルコール濃度を下げるのは必要な手順だと考えます。

でもこうやって理屈をごちゃごちゃ言うと「理屈じゃないんだよ、理屈を超えた気持ちが大事なんだよ」と言われるちゃうんですよね(笑)。感覚や才能や努力で出来る人はそれで良いと思います。でも才能が無く、感覚も平凡で努力も足りない僕なんかは、今後も理屈でブーストをかけて天才達に追いつきたいって思いです。

ーー今回の結果をお店でのお酒づくりに反映される予定はありますか?

牧野:細かな違いは出てくると思います。今後、液体の温度の違いも実験したいと思っています。水割りやビルトなどグラスの中で混ぜるカクテルは、温かい温度の方が良いなら混ぜてから氷を入れますし、冷えた温度の方が良いなら冷やしてから混ぜるようになると思います。大差無いなら今のままにしますが。

シェイクのカクテルは材料を混ぜて、シェイカーを冷やしてから中に材料を入れてシェイクしてるんですが、これも撹拌してからシェイクするのか、シェイクして冷やしてから撹拌するのか、どちらか模索するかと思います。何だったら、ミネラルウォータを加水分入れて、溶けない氷でシェイクするという手も考えられますからね。

まぁ、バーテンダーとしては自分のシェイクの技術で加水量をコントロールしたいという欲はありますが(笑)。

ーー投稿への反響について。

牧野:ポジティブ、ネガティブ問わず皆様から反応貰えたのが嬉しいです。まだまだ稚拙な推論と仮説なので、皆様から知見を頂けると捗りますし楽しくて最高です。実際に試してくれたバーテンダーさんもいてくれて、もう好きになっちゃいました。

ぼくの友達に「遊んでいたら、褒められた」というスローガンを掲げている変わった会社の経営者がいるんですが、この夏休みの自由研究もまだまだ考察中なので、楽しく遊んで研究を続けていきたいと思います。褒めて下さい(笑)。

◇ ◇

「バーテンダーは好奇心旺盛で、夜な夜な研鑽を積む人ばかり。みなさんの街にもきっと素敵なバーがあるので今回の投稿に興味を持って貰えたなら、勇気を持って扉を開いて頂くと嬉しいです」とまきのさん。バーテンダーのたゆまざる研鑽により美味しいお酒が飲めることに感謝したい。

牧野和明さん関連情報
Twitterアカウント:https://twitter.com/bartendermakino

おすすめニュース

気になるキーワード

新着ニュース