34歳女性「結婚して7年、夫はずっと専業主夫…私の収入だけで暮らしています」将来が漠然と不安です【FPがアドバイス】

福永 涼子 福永 涼子

妻が万一の時も…夫が受け取れる遺族年金はないに等しい

家庭を支える収入を得ていた人に万一のことがあった時、頼れるもののひとつが遺族年金ですが、受給にあたっては一定の条件を満たす必要があります。遺族年金には遺族基礎年金と遺族厚生年金の2種類があり、受給条件は以下のとおりです。

   ◇   ◇

<受給対象者の要件>
【遺族基礎年金】
1.子のある配偶者 2.子
【遺族厚生年金】
以下、最も優先順位の高い方が受給できる
1.妻(子のない30歳未満は5年間のみ) 2.子 3.夫 4.父母 5.孫 6.祖父母

※子・孫は18歳になった年度の3月31日まで、または障害等級1級・2級に該当する20歳未満
※夫・父母・祖父母はいずれも配偶者の死亡当時に55歳以上の方に限る

参考:日本年金機構ホームページより
・「遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)」https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/izokunenkin/jukyu-yoken/20150401-04.html
・「遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)」   https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/izokunenkin/jukyu-yoken/20150424.html
(死亡者も一定の要件がありますが、上記サイトをご参考ください)

   ◇   ◇

ここで、相談者さんのケースで考えてみましょう。

相談者さん(妻)に現時点で万一のことがあった場合、現時点では子どもがいないため遺族基礎年金は受給できません。

また、遺族厚生年金については夫が55歳以上であることが要件になるため、こちらも受給できません。

夫がいずれかの遺族年金を受給できるのは、子どもがいるかもしくは夫が55歳以降の時に妻が亡くなった場合となります。

現状、相談者さんは死亡保障300万円の終身保険に加入されているとのこと。もし今、相談者さんに万一のことがあった場合、遺族である夫は遺族年金の受給はできません(※国民年金加入者が亡くなった時の死亡一時金はあるが、12~32万円の間の金額)。

そうなると、終身保険300万円+預貯金800万円+企業型DC(積立金評価額)100万円=1200万円の遺産で、今後の生活を営んでいかなければならなくなります。

「1200万円あれば何とかなるだろう」と思うかもしれませんが、仮に今より生活費が多少減ったと考えて計算しても、この資産を切り崩していくと、夫が40歳くらいの時点(6~7年)で使い切ることになります。

そこから公的年金を受給するまでは20年以上ありますし、年金受給が開始した後も自身の年金だけで生活していくのは厳しい状況と思われます。

あってはならないことですが、生活を支える妻に万一のことが起きた場合、公的な保障にはほぼ頼れないことをふまえた上で、不足と考えられる部分は保険などで備えることも検討材料のひとつとなりそうです。

相談者さんが就業不能に陥るようなことも考えて

お2人の人生はまだまだ長く、思いがけないことでお金が必要になることもあるでしょう。

本記事では触れませんでしたが、相談者さんが就業不能に陥るような大きなケガや病気の際の備えについても、収入が減るもしくは途絶えてしまう可能性もあるため、何らかの対策を考えておきたいところです。

また、夫が少しでも収入を得ることを考えるもしくは就労の準備をしておくことも、可能であれば検討してみてください。

コロナ禍を経た今は特に働き方も多様になり、収入を得る手段の選択肢も広がっていると感じます。これからの生活を長い目で見て、無理のない範囲でのアクションをおすすめします。

今後の生活の中でお金が必要になった時に慌てることのないように、今からできることについてご夫婦での話し合いの時間を持ってみてください。

もちろん、必要に応じて私たちFPに相談してくだされば、喜んでアドバイス&お手伝いをさせていただきます。

◆福永涼子(ふくなが・りょうこ)FPオフィス「あしたば」のファイナンシャルプランナー(CFP)。2001年にFP資格取得しFP仲間と共に子どもの金融教育を推進。その後、銀行での運用相談業務を経て現職に至る。自身の経験もふまえた「働く女性や母親の視点」でのお金に関するアドバイス&サポートには定評がある。年間約250件の個別相談を実施。

▽FPオフィス「あしたば」
https://ashitaba-mirai.jp/

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