【漫画】発達障害の人がもつ意外な困りごと…「歩き方の癖」を改善する話に当事者からも反響「無理せず楽しく取り組みを」

竹中  友一(RinToris) 竹中 友一(RinToris)

どう違っているのか分からず改善が難しい場合も

実は、発達障害の方は歩き方だけでなく、他の運動面でも他の人との違いがあらわれやすい傾向があります。実際、水谷さん自身や娘さんも、歩くこと以外にも苦手なことがあるといいます。

「(水谷さん自身が苦手なこととして)顕著に自覚しているのは球技全般ですね…。テニスなら『走りながら』『飛んでくる球を見て』『ラケットで打ち返す』ことができず、身体に球が当たってしまいます。野球でも『飛んでくるボールの落下点を予測して』『走って』『グローブで受け取る』ことができませんでした。また、娘は小さな頃、チャックの服が着られませんでした」(水谷さん)

水谷さんによると、複数の動作を同時に行わなければならない作業の時に、身体がうまく対応できないことが多いといいます。

「それなら工夫して改善すれば良いのでは?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、実際これも難しい問題です。

なぜなら本人は、自分の動き方が普通であるため、自分のやり方がどう他人と違うのか具体的なところが分からず、なかなか自分では改善に向けた取り組みができないためです。

実際、水谷さんも、娘さんの歩き方を観察したことが気づきのきっかけになったものの、それまではどこをどう直せばいいのかずっと悩み続けていました。

このように、発達障害のある方が運動面に問題を抱えやすいのは、日常生活における協調運動に支障をきたす発達性協調運動障害(DCD)が併存している可能性が高いためともいわれています。

そのような方も、できる限りその運動における必要な動作を細かく分けて、ひとつひとつマスターしていくことで、できるようになることもあるといいます。

しかし、そのためには、本人の取り組む姿勢はもちろんのこと、周囲のサポートも必要でしょう。

無理をせず、それぞれが楽しく生きられる環境を

歩き方や運動面など、生きてゆくうえで、どうしても多くの苦手を抱えてしまう発達障害の特性。地域社会のなかで暮らしていくためには、どのような心がけが必要なのでしょうか?水谷さんにおうかがいしたところ、自身の体験談もまじえて答えてくれました。

「普通に発言したつもりでも、『面白い人だね』と言われてしまうことが多いんです」(水谷さん)

自覚のない発言のおかしさに悩んできたという水谷さん。周囲から否定的な反応をされることも多かったといいます。しかし、一方では好意的にみてくれる方もいて、最近はそういう人が多い環境で過ごすようにしているそうです。

そのような経験を踏まえて、水谷さんは話します。

「自分を周りに合わせて変えることも、周りから自分に配慮してもらえる環境をつくることも簡単なことではないです。お互いが無理しないといけない場所で過ごすより、楽しく過ごせる環境を探したり作ったりする努力をしてみるのもいいかもしれません」(水谷さん)

近年では、以前よりも学校での過ごし方や働き方が多様になり、生き方の選択肢も増えました。

もちろん、自分を変えたり、成長したりするための努力はもちろん大切。今回、水谷さんが歩き方を改善したように、向上心をもって前向きに取り組む姿勢も重要でしょう。

しかし、それが自分にとってどうしても合わないことだった場合は、無理をして頑張るのではなく、むしろ自分に合った居場所に目を向けた方が、幸せな生き方ができるのかもしれませんね。

ただし、そのためには、押さえておかなくてはならないポイントがあると水谷さんは言います。

「自分で自分の特性をよく知ることが、とても大切だと思います」(水谷さん)

  ◇  ◇

今回、ご自身の“歩き方”について紹介してくれた水谷さん。ツイートでは、「どんな靴を履いても足に合わない!」という悩みを抱えていた水谷さんが、自身にピッタリの運命の靴に出合うまでの「靴選び」の漫画も紹介されています。

インタビューで「自分で自分の特性を知ることが大切」と語っていた水谷さん。ASDの特性やライフハックなどをまとめた電子書籍『自閉日記』も無料で公開されています。

■水谷アスさんのTwitterはこちら
 →https://twitter.com/mizutanias

■電子書籍『自閉日記』はこちら
 →https://www.amazon.co.jp/dp/B0B4X89G2N

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