「119番したら靴の準備を」消防本部からのお願いが話題 救急車に乗った後「帰りに困った」「スリッパ買った」の体験談も

金井 かおる 金井 かおる

 兵庫県の宝塚市消防本部が公式インスタグラムに投稿した「お願い」がネット上で話題を呼んでいます。自宅から119番した際は、救急車が到着するまでの間に、搬送される人の「保険証、お薬手帳、履物」を用意しておいてほしいというもの。室内から担架に乗ると歩くことがなく、処置後に初めて「帰るときの靴がない」と気付く人がいるためです。盲点だった人は多かったようで、「初めて知った」「参考になった」「心づもりしておこう」といった声が上がっています。

担当者「少しでも迅速な救急搬送につなげたい」

 投稿した同消防本部の担当者に話を聞きました。

──履物がないと困る理由は。

 「院内での移動や、帰宅する際などに困ることが多いです」

──搬送時に伝えても忘れる人は多い?

 「救急隊が到着した際、慌てておられる方も多く、救急隊員がお伝えしても忘れる方は多いです」

──投稿に込めた思いは。

 「あらかじめ必要な物を知ってもらい、少しでも迅速な救急搬送につなげることで、傷病者の苦痛の軽減を図りたいです。搬送時間の短縮を図ることで、出動可能な救急車を増やし、より多くの方へ救急サービスの提供することにつなげたいと考えています」

──他に私たちが知っておきたいことは。

 「お薬手帳と薬の現物の両方を用意することが可能であれば、両方ある方がさらに良いです。財布、携帯電話、戸締り、火の元確認は忘れがちであり、特に携帯電話を忘れると家族への連絡先などが分からず、困る場合が多いです。病院内ではマスクが必要になることが多いですが、最近はマスクも忘れがちです」

 同消防本部では「生命に直結することが予想される症状があり、病院へ急ぐ場合はこの限りではありません」と断った上で、「救急隊を必要とした皆さまのご協力が得られれば、患者さんをより早く病院へ搬送することができ、救急隊がより多くの方のもとにかけつけることができるようになります」と協力への理解を求めました。

「帰りは自力って知らなかった」「スリッパで帰宅した」 

 靴の準備を呼びかける自治体は他にもあります。

 札幌市消防局では市民に向け、イラスト豊富な資料「救急車を呼ぶ時に知っておきたいこと」を公開。救急車が到着するまでに準備しておいた方がいい物として、保険証とお薬手帳、靴を挙げ、「靴は医療機関から帰る時に。室内から救急搬送される際、忘れる方が多いようです」と説明。「緊急時こそ慌てずに落ち着いて行動することが、自分や大切な人の命を守ることにつながります。いざというときに適切な行動ができるよう、日頃から考えておきましょう」(同資料より)

 川崎市や姫路市でも市のホームページ内で「救急車を呼んだら、こんな物を用意しておくと便利です」として、保険証や診察券、お金、靴、普段飲んでいる薬(お薬手帳)を案内。患者が乳幼児の場合は、母子健康手帳、紙おむつ、哺乳瓶、タオルがあれば便利だと紹介しています。

     ◇

 SNS上には、救急車で搬送された後、帰りの履物に困ったというネットユーザーらの体験談が多数投稿されています。「救急車、帰りは自力って知らなかった」「帰りの靴がなくて困ったことがある」「病院でスリッパを借りて帰った」「病院横のコンビニでスリッパ買いました」「売店で買ったサンダルで帰宅した」など。他には「パジャマだったから適当な服をつかんで救急車に乗った」「冬は帰りのコートも必要」といったアドバイスもありました。

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