『【終点】』というタイトルで書かれた“超短編小説”に、感動の声が寄せられています。
作者はTwitterで140字以内の超短編小説を日々更新されている方丈海さん(@HOJO_Kai)。
「俺も、もう歳だ。そろそろ免許返納するかな」
「あなた…」
「その前に…最後のドライブに行かないか?」
「プロポーズも、車の中でしてくれたわね」
「覚えてたのか」
「当然よ」
ドライブを終え、家に戻ると、夫はしばらく運転席を離れなかった。そして「楽しかったなぁ…」と呟き、車を降りた。
小説の主人公はとある老夫婦。車好きだった夫ですが免許返納を決意。妻を連れて、最後のドライブに出かけます。そして、ドライブを終え、夫は万感の想いで「楽しかったなぁ…」と呟くのでした。
夫婦の最後のドライブについて描いた物語。
「切ない…」
「泣いた(´;ω;`)」
「悲しく幸せな物語(;_;)」
「大きな事故もなく思い出が美しいまま終わって良かったですね」
「ご夫婦の今後の人生にも幸あれ」
「いつか自分のクルマ人生も『楽しかったなぁ』と呟きながら終われるように安全運転心掛けよ」
「わずか140字でここまで切なさを感じさせるとは、お見事としか言えません」
リプ欄にも感動の声が多数寄せられています。そんななか、こんなコメントも。
「妻、どこ行った?」
「道中、夫への返事の描写のあったにも関わらず、最後の車を降りる場面では妻の反応が無い」
「やばい、どう考えても深読みしてしまうんですが」
最後の場面で妻の描写がないことに、実はホラーなのでは?などと深読みしてしまった方もたくさんいました。
実際のところ、作者の方丈海さんは、どのようなきっかけでこの小説を書いたのでしょう?また、深読みさせるのも狙いだったりするのでしょうか?聞いてみました。
――今回のお話を考えられたきっかけは? 知り合いやご親戚に免許を返納された方がいたのでしょうか?
方丈海さん:いえ、身近に免許を返納した人はまだいません。きっかけは、ふと趣味のドライブについて考えてみたことです。「ドライブと共に人生を歩んだ人にとって、免許の返納は、非常に勇気のいる決断のはず」と連想した時、こんな作品を書いてみようと思いました。
――作品を作るうえで心掛けたこと、読者に感じてほしいポイントなどあれば教えてください。
方丈海さん:心掛けたことは、余韻と行間です。妻との会話、最後の夫の振舞いを通して、彼らの人生や感情に思いを馳せていただけたら幸いです。
――リプ欄には、「ホラーでは…?」などと深読みする声もありましたね。もしかして、意図的にそういう作り方をされたのでしょうか。あるいはたまたま…?
方丈海さん:正直に言うと、たまたまです。ですが、投稿する前に読み返して、この文章だとそういう解釈も出来るな…というのは把握していました。あえて解釈の余地を残して投稿したので、意図通りともいえます。正解は用意していないので、お好きなように想像を巡らせることを楽しんでいただければと思います。
――他にも、たくさんの超短編小説を更新されていますね。
方丈海さん:小説家を目指す上で、SNS上で物書きとして出来ることはなんだろうと考えた時、140字小説という文化に出会い、入門することにしました。
――創作のうえで、心掛けているポイントは?
方丈海さん:色々とありますが、パッと浮かぶのは「読者の想像力をかき立てる」ことです。小説は、数ある媒体の中でも特に想像力を必要とされます。それを、負荷やストレスではなく、楽しさと感じられるような創作を心掛けています。
◇ ◇
読者が楽しく想像力を掻き立てられるような小説を書かれている方丈海さん。現在、『#140字小説』(ワニブックス)、『いずれ死ぬ君のために』(KADOKAWA)と、本を2冊出版されています。今まで投稿されてきた140字小説のほか、本でしか読めない書き下ろしの140字小説や短編小説も収録されているとのことです。
「楽しんでいただけたら幸いです」(方丈海さん)
■方丈海さんのTwitterはこちら
→https://twitter.com/HOJO_Kai
■方丈海さんの書籍『#140字小説』はこちら
→https://amazon.co.jp/dp/484707260X
■方丈海さんの書籍『いずれ死ぬ君のために』はこちら
→https://amazon.co.jp/dp/4046061812