あおり運転「後悔していない」過半数 「指導するため」「されるほうが悪い」言動を正当化する声も

まいどなニュース情報部 まいどなニュース情報部

2020年6月施行の改正道路交通法で「妨害運転罪」が新設され、“あおり運転”は厳しく処罰されることになりましたが、その後もニュースで目にすることが多いですよね。そこで、弁護士ドットコム株式会社(東京都港区)が、「あおり運転」に関する実態調査を実施したところ、約2割の人が「あおり運転をしたことがある」と回答しました。また、「あおり運転をしたことがある」と回答した人のうち、約6割が「あおり運転をしたことを後悔していない」と回答したそうです。

調査は、弁護士ドットコムの一般会員のうち、運転免許証を持っている全国の男女1241人(男性842人・女性392人・その他7人)を対象として、2023年3月にインターネットで実施されました。

調査の結果、22.8%の人が「“あおり運転”をしたことがある」と回答。ちなみに、「ある」と回答した人の割合を年代別にみると、「50代男性」(40.2%)、「60代男性」(29.6%)、「40代男性」(28.5%)という結果に。また女性は「50代」(13.9%)が最も高くなっていました。

「“あおり運転”をしたことがある」と回答した283人に対して、「“あおり運転”をした場所」を聞いたところ、「一般道」が75.9%、「高速道路」が24.0%となりました。

さらに、「“あおり運転”をしたきっかけ」を教えてもらったところ、「前の車のスピードが遅かった」(58.7%)、「急な車線変更で前に割り込まれた」(27.2%)、「向こうから先に“あおり運転”をしてきた」(8.5%)といった回答が上位に並びました。

また、56.5%の人が「“あおり運転”をしたことについて後悔していない」と回答。回答者からは追越車線をゆっくり走ったり、割り込みをされたりしたことを理由に、自分はあえて“あおり運転”をしたと正当性を主張する声が寄せられています。

▽相手が危険な割り込みをして来たため、指導するために追いかけた(50代男性)
▽“あおり運転”されるほうが悪いことが多い。早く進まないのであれば後ろに道を譲るべき(50代男性)
▽加害者ではあるが、同時に被害者でもある。事故を未然に防げただけありがたいと思えとさえ言いたい(60代男性)
▽合流車線から来た車がこちらを見ずに合流してきたため、急ブレーキと急ハンドルでかわした。クラクションを鳴らしたものの、こちらを気にする素振りもなく走行していたため、頭に血が上りあおり運転をしてしまった(30代男性)

   ◇  ◇

一方、「“あおり運転”をされたことがある」と答えた人は71.6%。また、「“あおり運転”をされたことがある」と答えた1303人のうち、61.0%の人が「ドライブレコーダーを取り付けている」と回答しています。

さらに、「“あおり運転”への対処」を教えてもらったところ、「道を譲った」(36.7%)、「何もしなかった」(29.2%)、「スマホやドライブレコーダーで記録した」(8.7%)などが挙げられました。回答者からは以下のようなコメントが寄せられています。

▽法定速度にて走行中に、何度もスピードを上げて詰められたり離されたりを繰り返しされた。停車する路肩も無かった為、逆にゆっくり走行し脇道へ逃げ込んだ(30代女性)
▽高速道路で追い越し車線を走行中、後ろから近づかれて法定速度以上のスピードを出さなければいけなくなった(50代男性)
▽車間距離を詰められ、ハイビームを着けたり消したりされた。軽自動車で初心者マークをつけていたせいで、標的にされやすいように感じた(30代女性)
▽後ろから車間距離を詰められ、更にハイビームで運転をしにくくされたため、路肩に寄って道を譲ったら、抜かすタイミングで私の車に対し、睨みつけながら何かを叫んでいた(30代女性)

   ◇  ◇

調査結果を踏まえて、交通問題に詳しい西村裕一弁護士は、「“あおり運転”の罰則は重く、3年から5年の懲役または50万円から100万円以下の罰金となっています。加えて、免許は一発で取消しとなり(違反点数25点もしくは35点)、2年もしくは3年間免許の再取得ができないことになっています」と説明したうえで次のように述べています。

「『ここで譲るのが普通』『スピードが遅すぎる』といった運転感覚は、ドライバーそれぞれによって変わってくる側面があります。『指導してやる』などと思わずに、くれぐれも、“あおり運転”をしないようにしていただきたいと思います」

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