ザ・タイガースの瞳みのるが2月12日、ライブハウス・横浜サムズアップでライブイベント「長い髪の君だけに愛の国へ」を開催した。
思わせぶりなタイトルはグループサウンズ時代の友人、ザ・ゴールデン・カップスのエディ藩、ミッキー吉野を(のちゴダイゴ)迎えたことによるもの。カップスの代表曲「長い髪の少女」、タイガースの代表曲「君だけに愛を」、ゴダイゴの代表曲「ガンダーラ」の一節をミックスしたというわけだ。
「瞳みのる&His Frend‘s」として送るセットリストは「ルシール」、「スタンド・バイ・ミー」といったロックンロール、リズム&ブルースからそれぞれの代表曲まで多彩なラインナップ。「長い髪の少女」を瞳が、タイガースの「花の首飾り」をエディが歌うという粋な演出やラスト「君だけに愛を」の否応なしに高揚するビートにファンは大興奮。会場は1960年代のグループサウンズブーム華やかなりし頃にタイムスリップの様相だった。今回の企画について瞳に話を聞いた。
「2016年に神奈川歯科大学大講堂でバースデーイベントを開いた時、エディにゲストで出演してもらったんですよ。ザ・タイガースが解散して芸能界を引退して以来、45年ぶりの再会だったけど全然変わってなくて嬉しかったですね。また一緒にやりたいなと思ってたんだけど、こないだ近田春夫さんが『グループサウンズ』(文春新書)という本を書くにあたって一緒に話をする機会があって、その時に『一緒にやろうよ』と声をかけたんです。そしたら意外なほど話が盛り上がって、ミッキーにも参加してもらおうとなりました」
グループサウンズシーンきってのアイドルバンドだったタイガースと、ロックバンド独特の不良感を醸し出していたカップス。イメージは正反対だが、意外に深い交流があったそうだ。「きっかけは日劇ウエスタンカーニバル(渡辺プロダクションが1958年から1977年まで日本劇場で主催した音楽フェスティバル)だったと思います。楽屋が長屋みたいにたくさん並んでるから、出演するバンド同士で交流が生まれたんですね。タイガースとカップスはけっこう付き合いがあって、僕はエディやマモル・マヌーと仲が良かった。しょっちゅう一緒に遊んで、エディの実家の中華料理屋の2階に泊めてもらったりもしました」
当時、ステージ上で共演する機会はほとんどなかったというが、今回のジョイントライブは手ごたえ抜群だった。
「カップスの音楽の根幹はリズム&ブルース、タイガースはもうちょっと軽めのポップスでしょう。だから一緒にやって合うのかなという心配はあったんだけど、いざスタジオでセッションしたら何の違和感もないんですよ。やっぱり同世代で同じような音楽を聴いて育ってますし、コミュニケーションが取りやすい。それにミッキーが素晴らしいと思う。エディにも僕にも寄り添ってくれるんですね。グループサウンズの頃からプレイヤーとして注目されていたけど、改めてさすがだと思いました」
「長い髪の君だけに愛の国へ」は3月12日、神戸のライブハウス・モズライトカフェでも開催される。「普段のツアーとは趣向を変えて港町を回っていこうと思うんです。まだ予定はないけど、長崎とかでもやれたらいいなと。グループサウンズや懐かしいロックンロール以外にも、反戦の思いを込めて『ダニー・ボーイ』やボブ・ディランの『風に吹かれて』も演奏します。こういう難しい時代だからこそ、団塊の世代としてのメッセージを発信していきたいですね」
ロシアによるウクライナ侵攻以降、世界情勢はまるで瞳たちが青春時代をすごした1960年代のような混沌の中にある。瞳みのる&His Frend‘sたちの友情と平和のメッセージが津々浦々に響き渡るよう期待したい。
2023年3月12日「長い髪の君だけに愛の国へ」in神戸
【出演者】瞳みのる、エディ潘、ミッキー吉野、手島正揮
【会場】神戸モズライトカフェ 兵庫県神戸市中央区東川崎町1丁目5−7
https://mosritecafe.com/※JR神戸線「神戸駅」より徒歩5分
【開場・開演】第1部:12時30分開場、13時30分開演 第2部:16時30分開場、17時30分開演※入替制
【料金】15000円(フード、1ドリンク付)申込先:http://www.yusanevents.com/