株式会社エムティーアイ(東京都新宿区)が運営する、健康情報サービス『ルナルナ』は、武田薬品工業株式会社と共同で「過多月経についての意識調査」を実施しました。その結果、正常な経血量の認知度は4割に満たないことが分かりました。なお、経血量が多いと考えられる目安は、「経血量が140mlを超える」以外に、「ナプキンを2時間に1回よりも多い頻度で交換する必要がある」「毎回100円玉サイズより大きい血の塊がでる」などに当てはまる場合だそうです。
調査は2022年12月に同サービスの『ルナルナ』『ルナルナWeb』『ルナルナ 体温ノート』『ルナルナ ベビー』を利用する15歳以上の女性5608人を対象にインターネットで実施されました。
月経の際に、子宮の壁からはがれおちた内膜や血液などが混ざったもの(以下、経血)の量が非常に多い場合に診断される過多月経は、婦人科系の疾患だけでなく、血液疾患などのサインである可能性もあるといいます。また、個人差はあるものの、1回の月経期間での正常な経血量は20~140ml(厚生労働省「働く女性の健康応援サイト(https://www.bosei-navi.mhlw.go.jp/)」より)といわれています。
そこで、「正常な経血量を知っていますか」と聞いたところ、「知っている」と答えた人は36.5%となり、4割に満たない結果となりました。一方、1回の月経期間に経血量が140mlを超える場合、「過多月経」の疑いがありますが、この「過多月経の認知度」については、64.7%の人が「知っている」と回答し、6割以上の人が過多月経を知っていることが分かりました。
また、「生理期間中の自身の経血量」については、45.7%の人が「普通だと思う」と回答。「多いと思う」という人は30.6%となりました。
なお、自身の経血量を何らかの形でチェックしたことがある人は全体で15.3%おり、経血量のチェック経験があり、かつ正常な経血量の目安を知っている人に絞ると、自身の経血量を「とても多いと思う」の回答は26.2%と、全体の数字よりも高くなったといいます。
続いて、「これまでに生理の時の経血量が多く、不安に思ったことはありますか」と聞いたところ、51.9%の人が「ある」と回答。具体的には「経血にレバーのような大きな血のかたまりが混ざることがあった」(76.6%)、「昼でも夜用のナプキンを使う日が多くなった」(60.1%)が上位に挙げられました。また経血量が多いことで8割以上の人が「日常生活に影響がある」と回答しており、「毎回寝具を汚してしまう」「授業中(60〜90分)だけでも経血が漏れて、椅子を汚してしまう」「何度もトイレへ行かなければならず、仕事に支障があった」「過多月経用のナプキンを使用していたため値段も高く、購入頻度も高かった」といったエピソードが寄せられました。
同サービスは、「経血量が140mlを超える」という目安以外にも、「ナプキンを2時間に1回よりも多い頻度で交換する必要がある」「夜用ナプキンを昼でも使用している」「ナプキンを複数枚、またはタンポンとナプキンを同時に使用している」「毎回100円玉サイズより大きい血の塊がでる」などに当てはまる場合は、経血量が多いと考えられると説明。
「自分で経血量を正確に測ることは難しいですが、生理用品の使用頻度や使い方、経血の広がり方などを自身の状況と照らし合わせることで、過多月経の疑いに気付くこともできます。自身の経血についてもチェックを行い、不安を感じたり、日常生活に支障を来す場合は医療機関の受診を検討してほしいと思います」とコメントしています。
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次に、「血量が増えて不安を感じた際に、医療機関を受診しましたか」と質問したところ、正常な経血量を知っている300人のうち、42.3%の人が「受診した」と回答した一方で、正常な経血量について知らない572人では、受診率は21.2%と約半数にとどまり、経血量についての正確な知識が、医療機関を受診するという具体的な行動につながっていることがうかがえました。
また、「医療機関を受診した」と回答した733人のうち、「過多月経」であると診断された人は27.2%でした。「過多月経の要因」を教えてもらったところ、「子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮内膜ポリープなどの良性の婦人科器質性疾患」(62.3%)が圧倒的多数となりました。同サービスは、「こうした疾患を治療せずに放置していると、症状が悪化したり、不妊につながるなどのリスクもあるため、やはり医療機関を受診し、適切な治療を受けることが大切です」と述べています。
一方、「医療機関を受診しなかった」と答えた1856人に理由を教えてもらったところ、「症状が悪化したら行こうと思ったから」(40.8%)が最も多かったほか、「時間がなかった」「面倒だった」(いずれも25.3%)という人も多く、経血量が多いという症状だけでは、受診の動機にはならない人が多いことがうかがえたといいます。
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調査結果を踏まえて、成城松村クリニック院長の松村圭子氏は、「過多月経の原因がわかれば、経血量の改善のみならず、気付いていなかった婦人科系の疾患や、血液疾患の適切な治療につながることもあります。経血量の多さを個人の体質のせいなどと決めつけずに、まずは受診の一歩を踏み出してほしいです」と述べています。