心臓病…でも散歩や遊びが大好きな保護犬 見守るスタッフの願いはひとつ「飼い主さんと出会えますように」

松田 義人 松田 義人

 

保護犬のなかには、老齢であったり、障害があったり、または簡単に治らない病気を持っているなどの理由で長い間、里親となってくれる家族との縁に恵まれないワンコもいます。今回紹介するミックスの保護犬・モモの助も、心臓病を患っており、譲渡先がなかなか見つからないですが、その表情は明るく穏やかで、今日も楽しそうに保護犬譲渡団体の施設で暮らしています。

多くの病気とともに生きる保護犬・モモの助

 

モモの助がいるのは、譲渡活動などを通じ「殺処分ゼロ」の実現を目指すピースワンコ・ジャパン(以下、ピースワンコ)。モモの助の心臓病は、左心室と右心室の壁に穴が開いているという「心房中隔欠損症」という先天性心疾患。これに加えて右心拡大、肺動脈弁狭窄、乱流重度等の疾患も抱えています。

かつてピースワンコで過ごし、生後約半年で虹の橋をわたったガープというワンコも全く同じ病気を抱えていました。ただし、かつていたガープとモモの助との違いは、ガープの病状に比べると軽い症状、そして体の大きさです。小柄だったガープは、スタッフの方も抱っこなどをしやすかった一方で、モモの助は生後約9カ月にして、その体重は17キロ。それに加えて散歩したり遊ぶことが大好きだったりするため、動きすぎて心臓に負担をかけないよう、スタッフは慎重に接し注意しながらケアを続けています。

犬本来の特性を活かした体力消耗術を

 

ところでワンコは嗅覚が発達していますが、匂いをかぐ行為は、その動作の見た目以上に体力を消耗するのだそうです。

そこで、ピースワンコのスタッフは、モモの助に対し、体全体を使って激しく動くような体力の使い方をさせず、できるだけ嗅覚を使うことで体力を消耗させるよう促すことにしました。そうすれば、結果的に心臓への負担も軽減できるからです。散歩中、スタッフはさまざまな工夫をこらし、モモの助に鼻を使う練習を促します。また、人と触れ合うこともストレス発散になるようです。

遊びたい盛りで、本来は激しい動きをしたいモモの助には申し訳ないですが、このように心臓に負担をかけないよう、様々な工夫をしながらサポートを続けています。

多くの支援によってモモの助は今日も生きている

ただし、当のモモの助はそれでもスタッフや他のワンコのことが大好きな様子。制限ある生活ではあるものの、いつもニコニコ楽しそうに団体の施設で過ごしています。

冒頭でも触れた通り、保護犬の中には、持病や障害を抱えていたり、高齢だったりすると譲渡が難しくなります。ピースワンコではこういった譲渡が難しいワンコでも、最後までその命を支える「ワンだふるファミリー」という制度を設けています。全国の支援者のサポートによって運営が成り立っているもので、多くの譲渡困難なワンコがこの制度によって、団体の施設で暮らしています。

2022年、モモの助も「ワンだふるファミリー」のメンバーになり、全国のお父さんやお母さんから支えてもらいながら今日を生きています。スタッフは、そのサポートに深く感謝しつつ、いつの日か持病も元気すぎる性格も含めて、かわいがってくれる家族と出会えることを願いながらケアをし続けています。

 ピースワンコ・ジャパン
https://peace-wanko.jp/

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