「あんた、こたつで寝ると風邪ひくで!」とは実家にいたころ、よく母からもらった小言ですが、「知り合いが飲酒後こたつで就寝し、脱水症状から脳梗塞で亡くなった」という内容の投稿がSNSで注目されています。
投稿したかわちゃん@エアコン人間(@kawaken1985)さんによると、亡くなった方は50歳で、つい先日話をしたとのこと。「信じられない」「息子も大学生なのに…まだ亡くなるには早すぎるよ」と突然の不幸を悼みます。その上で「こたつで寝るな ふとんで寝ろ!」と警鐘を鳴らしました。
医学的に考えると、こたつの使用で注意すべきは「低温やけど」「脱水」「火災」の3つとされています。
低温やけどと脱水は、こたつに長時間入っている際に生じる恐れがあります。特に乳幼児やお年寄りはぐっすり眠ってしまうと、熱さに気が付かずやけどをしてしまうことがあります。夏に比べ冬は水分補給がおろそかになりがちです。こたつで寝てしまった場合などは汗をかき続けてしまい、脱水も起こりやすくなります。
またアルコールで泥酔したまま、こたつで寝ると低温やけどに気づかなかったり、利尿作用で脱水になりやすくなります。飲酒後面倒になってこたつを布団代わりにするのは避けた方がよさそうです。
こたつで汗をかいて脱水→血液中の水分が減り血栓ができやすくなる→死亡リスクを伴う脳梗塞・心筋梗塞を起こす、という可能性も指摘されていますが、医療関係者はどう見ているのでしょうか。
兵庫県伊丹市の開業医、谷光 利昭さんは、まいどなニュース2019年1月25日配信の記事「「こたつで寝たら風邪引くで!」は正しいのか?」で、「一部に、こたつが脳梗塞・心筋梗塞の原因にもなるという声もあるようですが、どうでしょうか…。実際、こたつ内の温度は30~40度とされています。ずっと強で使い、かなり熱くても我慢し続ける人はまずいなくて、一般的には弱、中あたりで調整するものです。だとすると、こたつに入っていることが重篤な病気の引き金になりかねないというのは、話が少し飛躍しすぎかなと思います。」とコメントしています。
むしろ怖いのは火災かもしれません。独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)は、2021年12月のリリースで、こたつの誤った使い方による事故事例を発表。火災などが発生した3例を解説しています。
【事例1】
電気こたつのこたつぶとんが焦げた。→足の不自由な家人がつまずかないよう、使用者がやぐらの中にこたつぶとんを押し込んだたため、ふとんがヒーターの保護カバーと接触し、焦げたものと考えられる。なお、本体及び取扱説明書には、「ふとんをやぐらの中に押し込んで使用しない」旨、記載されている。
【事例2】
建物3棟を全焼する火災が発生し、現場に電気こたつがあった。→電気こたつ本体から外れたヒーターユニットをこたつ内の床に置いて使用していたことにより、こたつ布団など周辺の可燃物と接触して出火に至ったものと考えられる。 なお、電気こたつの本体表示には、「ヒーターユニットを床などに置いて使うことは絶対にしない」旨、取扱説明書には、「ヒーターユニット単体では使用しない、火災の原因となる」旨、記載されている。
【事例3】
使用中の電気こたつの電源コード及び周辺を焼損する火災が発生した。→ 電気こたつの電源コードをやぐら脚部で固定しなかったため、電源コードがテーブル中央付近のコード固定部から垂れ下がる状態となり、使用者が電源コードを踏む等により電源コードに過度の外力が加わって半断線となったことで異常発熱し、出火に至ったものと考えられる。なお、取扱説明書には「電源コードを必ず2箇所で固定する。こたつに出入りする際に電源コードに足を引っかける等して断線・火災等の原因となる。」旨、記載されている。