「こたつで寝たら風邪引くで!!」と幼いころ、よく叱られた記憶があります。「それってほんま?」と時々患者さんにも聞かれます。また、ウェブでも「こたつで寝たら危険…」というネタが話題になっているとか。
結論から言いますと正解はありません。この話が一般的に広まったのは、私が幼少期以前のように思います。つまり50年以上前で現在の生活環境とは違います。私の実家は小さな日本家屋で隙間も多く、今のようなエアコンもありません。冬になるとストーブの前やこたつの中に家族全員が集まっていました。
また、暖房器具はストーブなどが主流。眠ってしまうと火事など、命に危険を及ぼす状態になりかねず、就寝前には必ず消しますし、空気が悪くなるので数時間に一度は窓を開けて換気をするのが当たり前でした。換気で室温が一気に低下し、みんながこたつに集合するなど、ある意味“古き良き時代”だったようにも思います。
話がやや逸れてしまいましたが、要するにこたつに入っていても暖房を適切にして睡眠すれば風邪などは引きません。しかし、コタツに入っていても暖房を消して寒い部屋で就寝すれば風邪を引くのは当然です。
一部に、こたつが脳梗塞・心筋梗塞の原因にもなるという声もあるようですが、どうでしょうか…。実際、こたつ内の温度は30~40度とされています。ずっと強で使い、かなり熱くても我慢し続ける人はまずいなくて、一般的には弱、中あたりで調整するものです。だとすると、こたつに入っていることが重篤な病気の引き金になりかねないというのは、話が少し飛躍しすぎかなと思います。
ただ、時節柄、脳梗塞、心筋梗塞などが増えるのは事実です。コタツに入っていて、倒れたり、苦しんだケースがあれば、本当の原因は別として、結び付けられることもあるのだろうとは想像します。こたつにせよ、ほかの暖房器具にせよ、体を温める以上は脱水症状になりやすくなることは否めませんので、冬場でも水分の補給などは怠らず、体の具合と相談しながら利用していただきたいです。