近年、いわゆるブラック企業といわれる環境は減少傾向の一方で、環境がゆるすぎるホワイト企業が増加していると聞きます。そこで、全国の社会人の男女682人に働く環境について調査をしたところ、約3割の人が「環境がゆるすぎると感じる企業に勤めた経験がある」と回答しました。また、そのうちの約半数の人が「ゆるすぎる環境がきっかけで転職をした」と回答したそうです。
『Job総研』を運営する株式会社ライボ(東京都渋谷区)が、2022年12月~2023年1月の期間に「2023年 働く環境の実態調査」と題して、インターネット上で実施した調査です。20人~1000人以上規模の会社に所属し、1年以内~10年以上勤務している20~50代の社会人に聞きました。
まず、「ブラック企業に勤めた経験」を聞いたところ、52.8%の人が「経験あり」と回答。「ブラック企業に勤めた経験あり」と回答した360人に「ブラックと感じた内容」を聞いたところ、「長時間労働」(68.9%)、「ハラスメントがある」(48.3%)、「根性論が飛び交っている」(43.3%)といった回答が上位に並びました。
また、「ブラックな事象が原因での転職経験」について聞いたところ、47.8%の人が「経験あり」、52.2%の人が「経験なし」と回答しました。
さらに、「ブラックな事象での転職経験あり」と回答した172人に、「その転職によって環境の希望は叶いましたか」と聞いたところ、「叶った」(27.9%)と「どちらかといえば叶った」(41.9%)を合せて69.8%の人が「環境の希望は叶った派」と回答したそうです。
他方で、「働く環境がゆるすぎると感じる企業に勤めた経験」について聞いたところ、34.2%の人が「経験あり」と回答。「働く環境がゆるすぎると感じる企業に勤めた経験がある」と回答した233人に「ゆるすぎる環境がきっかけで転職をした経験」を聞いたところ、48.9%の人が「経験あり」と回答。これを年代別でみると、「50代」が100%、「40代」が66.7%、「20代」が65.4%、「30代」が37.0%という結果になりました。
また、「ゆるすぎると感じた具体的な内容」として回答者からは、「サークル感覚で遅刻や欠勤が日常的にありそれを叱る文化もなく仕事は楽すぎる」「業務量が極端に少なくて暇な時間が多く、自身の成長スピードに不安を感じた」「会議は基本的に雑談をして終わることが多く、真剣な議題がないのでダラダラと進む」「目標管理などが特にされていないので、基本的に業務への評価をされない」「仕事が楽すぎでスキルが身に付かず、昇格昇級基準がないため給料が上がらない」といった声が寄せられたそうです。
最後に、「ブラック・ホワイトを連想する職種」について聞いたところ、ブラックな労働環境を連想させる職種としては、「営業職」(43.7%)、「販売・サービス職」(15.2%)、「技術職」(12.6%)が上位に挙げられました。
一方、ホワイトな労働環境を連勝させる職種としては、「事務・アシスタント」(31.7%)、「公務員」(16.7%)、「企画・管理」(14.5%)などが上位に並ぶ結果となりました。
なお、回答者からは、「ブラックな環境に対する捉え方が世代別で少し違う気がする」「ブラック企業は減っていると思うけど、まだまだたくさん存在しているのも事実」「ブラックも良くないが、ゆるすぎも良くないので程よい厳しさは必要だと思う」「ゆるすぎる環境になれてしまって、転職後にその会社で適応できるか不安」「業界や職種によって働く環境はある程度決まる気がするので仕事に何を重視するかが重要」といったブラックな環境やゆるすぎる環境への是非に関するコメントが寄せられたといいます。
◇ ◇
調査を実施した同社は「20代においても緩すぎる環境を嫌うケースが顕著な結果が出ましたが、あくまで個人の価値観が大きく影響することが前提となります。働き方にも選択肢が多様に存在している昨今において、自身の価値観によって働く環境選びを今一度見直してみるのも良いかもしれません」と述べています。