授乳、寝かしつけ、離乳食など子どもを育てていると、さまざまな難題が待ち受けています。歯が生え始めた乳幼児期の歯磨きもそのひとつ。
男の子を育てるひみつのうつ子ちゃんさん(@utuko_chan以下うつ子ちゃんさん)は、1歳半検診の際、歯科担当の先生に「泣いてもきちんと磨いてあげて。最初はササッと歯ブラシを2・3回こする程度でもOK。毎日やることが大事」と言われ、息子の歯磨きへの真剣味が増したそう。けれども、泣いて嫌がられることも。
思い余って、SNSで「教えてください。もうすぐ2さいの息子ですが、歯磨きめちゃくちゃ嫌がります…どうしたら仕上げ磨きさせてくれますかね…本気の悩みです先輩方アドバイスくださぁぁぁあい」と呼びかけました。
すると、たくさんのアイデアが集まり、あんなに嫌がっていた歯磨きをスムーズに行うように。「うちの現在2歳の息子に絶大な効果を及ぼしたアドバイスをご紹介します」と感謝ツイートを投稿しましたが、一体、どんな方法を採ったのでしょうか?
うつ子ちゃんさんに詳しい話を伺うとともに、乳幼児期の歯磨き習慣について歯科医師にも聞きました。
虫歯写真を見たその日から歯磨き優等生に
息子さんが歯磨きを積極的に取り組むようになった方法について、「『虫歯の写真を見せる』ことでした。「歯磨きしなかったらこんな歯になっちゃうんだよ。いたいいたいだね」これがもう効果抜群。写真を見ている息子のお口はすでに「あーん」と大きく開いています。もう写真見ながら磨く気マンマン。皆さんホントにありがとうございました!!」と伝えたうつ子ちゃんさん。
リプライには、同じ悩みを持つ人からの
「リアルタイムで困っていた自分には とても有難い情報」
「コレ最近いちばん悩んでた嫁にシェアして早速やってみる!!」
「実践します。 本当は押さえつけてする歯磨きすごいイヤなんですよね。。」と喜ぶ声。
「うちは、ぬいぐるみに歯ブラシもってもらって磨いてます。手はつりそうになります」
「お口のバイキンバイバイしに行こうね!と言います。仕上げ磨きの時も、あ!ここにもバイキンだ!!あ!ここにも!!って言いながらやると大人しくしてます」
「私の母がほぼ入れ歯なので、外して洗っている所を見せて『将来的にはこうなるよ』で、1発でした」
「うちの子は私とどっちが綺麗になるか勝負だー!と競争心を掻き立てると自らやるように」
と各家庭の歯磨き方法を伝える声がありました。
――ここに至るまでは苦労があったのでしょうか?
「歯が生え始めた頃から多少気をつけてはいました。1歳半検診をきっかけに、本格的に取り組まねばと思ったのですが、ほんっとうにイヤがるんです。夫と協力して押さえつけながらもやっていたのですが、その姿がかわいそうでかわいそうで…。でも「虫歯になったときの方がかわいそうだ」と思ってはいたので、歯磨きが好きになりそうな絵本を買ってきたり、歯磨きしている子のYouTubeの動画を見せたり、私が楽しげに歯磨きをやっている姿を見せたり、パパを仰向けにさせて私がパパの歯を磨いたり。思いつくことはなんでもしました」
――でも順調に行かず、ツイートしたのですね。
「はい。たくさんリプライをいただいたので、何種類か…あまり覚えていませんができることは全部試しました(笑)。息子に歯ブラシを持たせて私の歯を磨かせたり、「歯磨き後に食べるタブレット」を買ってみたり、歌いながらやってみたり。歯磨きどうしていますか?の投稿時は、言葉を話していなかったので、「虫歯になったときの写真」を見せても理解できないかな?と勝手に思っていて、写真を見せる方法は試していなかったのですが、ある日写真を見せたら、すぐ歯磨きするようになりました!」
――おしゃべりできるようになった今、虫歯のことを親子で話したりします?
「歯磨きを終えると「これで真っ黒ならない?」と確認してくるようになりました。ただですね、しばらくは順調だったんですが、写真を見慣れたためか、写真効果は2週間ほどでなくなってしまったんです。ただ、毎日洗面台に行き自分で歯を磨くという習慣はできたのでとても効果はありました」
ーーツイートがあったからこそのお悩み解決、心強いですよね。
「みなさんがたくさんのアドバイスをくれることに、「優しい世界」だなと感じました。同時に同じ悩みを持っていらっしゃる方が多いことで、なんだか「チーム」のような一体感を感じることもできました。現在は在宅で少しだけ仕事をしながらの子育てです。そのため、あまり社会とのつながりを感じることができていません。ただ、画面の向こうには自分と同じように子育てに奮闘している方がたくさんいるんだなと思うと、少し心がスッと軽くなったりもします。非常に助けられたなと思います」
虫歯を招くダラダラ食べ&飲みに注意
たくさんのリプライの中でも、うつ子ちゃんさんの印象に残っているコメントは『どうしても嫌がる時は「お水を飲ませる」だけでも効果あるって友達の歯医者さんが言ってた』。「もし歯磨きできなくても、水さえ飲ませれば大丈夫!という安心感を持てました」。磨いてもらえないときがあっても、まぁいいかな、と少し気持ちが救われたのだそう。
乳幼児期の歯磨きについて、歯科医のサトシィさん(@pomade_konpeito)に聞いたところ、「“歯が生えてきたから、さぁ、歯磨きしましょう”と無理やり口を開けさせて、歯ブラシで歯をブラッシングするのは子どもにとって恐怖感があります。
いきなり、完璧な歯磨きをめざすのではなく、最初は子どものほっぺをツンツン→楽しんできたら口もとを触る→“お口をアーンと開けようか”と声をかけてから、歯磨きをするといった具合に段階を踏むことをおすすめします。歯ブラシを口の中に入れるのを嫌がるようであれば、消毒した手指(あるいはビニール手袋装着の手指)を口の中に入れて歯を磨いてあげるのもいいですよ。親子のコミュニケーションのひとつとして、歯磨きをしましょう」。
「お水を飲ませるだけ」「うがいさせるだけ」については、口腔内の虫歯菌を洗い流すことになるので一定の効果はあるものの、虫歯菌を一掃できるわけではないとのこと。「いつもはちゃんと歯磨きしてるけど、たまには水飲み、水うがいでもいいよね、という親御さんの心の持ちようならいいのですが、毎回、その方法では口腔内の虫歯菌は排除できません。その点はご理解いただきたいです」と教えてくれました。
また、乳幼児の虫歯予防でいちばん大切なことは食べ方、飲み方であることを強調。「食事や飲み物を与える回数が多いと多いだけ虫歯になる可能性を高めています。ダラダラ食べ&ダラダラ飲みをしないことを気をつけてください。特に、兄姉がいる家庭は、下の弟妹が早い段階で砂糖の入ったおやつを食べがちです。食事や間食の内容、主にシュガーコントロールが大切ですから、あまり早い段階で砂糖お多く含むものを与えないようにしましょう」。
さらに、「さまざまな考え方があると思いますし、歯科医師の中でも意見が分かれるところではありますが、私個人としては歯磨き粉やジェル、うがい薬によるフッ化物の使用が大切だと考えています」とのことでした。
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うつ子ちゃんさんは、現在「FRaU web」(講談社)にて『毎週うつ子ちゃん』を連載中。子育ての日々で感じたことやクスッと笑ってしまったことなど育児あるあるを執筆。共感できるエピソードが綴られていますので、こちらもぜひチェックを。
■ひみつのうつ子ちゃんTwitter(@utuko_chan)
サトシィ Twitter(@pomade_konpeito)