えっ定価の3倍超で!?…滋賀・膳所城跡の御城印の転売がネットで横行 ほかの地方でも

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 各地の城が発行する「御城印(ごじょういん)」が全国でブームとなる中、滋賀県大津市にある膳所城跡の御城印の転売がインターネット上で横行している。背景にあるのは、日本三大湖城である点に加え、「幻の御城印」と呼ばれるほどの入手の難しさ。関係者は「売買の対象になると、城跡を訪れ、膳所の町を巡ってもらうきっかけにするという本来の趣旨と離れてしまう」と心配する。

 御城印は社寺などで発行される御朱印を参考に、城の名に城主の家紋をあしらったもの。島根県の松江城、長野県の高島城とともに日本三大湖城の一つである膳所城跡の御城印は、城主本多氏の家紋「立葵(たちあおい)」を入れている。地元の住民団体が運営する膳所歴史資料室が一昨年2月から1枚300円で販売を始めた。

 同資料室は住民による運営で開室日が限られている。御城印は当初、同資料室で月1日しか販売していなかったため、入手難易度の高さで知られる存在に。そこがファンの収集欲をくすぐるようで関東からも買いに訪れる人気となった。

 団体側が転売に気づいたのは昨年夏ごろ。フリーマーケットアプリ「メルカリ」では「入手に大変手間がかかる御城印」「遠方でなかなか来られない方、いかがでしょうか?」などの売り文句で、定価の3倍以上となる千円で売られていた。

 御城印の転売は、三戸城など青森県と岩手県の間にある南部氏ゆかりの城でも問題になった。

 住民団体は相次ぐ転売や購入希望者の声を受け、昨夏から近くの酒店でも取り扱いを始めた。石垣が移されるなど膳所城跡にゆかりが深い大津城跡の御城印の販売にも乗り出している。

 団体の寺田智次会長(70)は「実際に城跡に足を運んで、思い出と一緒に御城印を持ち帰ってもらえたら」と話す。

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