自社のオリジナル畳製品がアマゾンで高額転売 京都の畳店主が怒りと不信感を訴え

浅井 佳穂 浅井 佳穂

 「弊社オリジナル畳が高額転売されております」「転売業者から購入されないようお願い致します」。自社オリジナルの畳製品が、通販サイト「アマゾン」で高値で販売されていることを知った畳店店主による注意喚起のツイートが話題を呼んだ。アマゾンでの出品は取り消されたが、出品者や通販サイト側から説明がなく、店主には怒りと不信感が残ったままだ。

 転売されていたのは、京都市上京区の太田畳店が製造、販売する「寿楽臺(じゅらくだい)」。縦10~15センチ、横10~24センチで4種類あり、畳のへり部分には地元の西陣地域で作られた金襴を使用。太陽光が当たっても変色しにくいよう、樹脂で加工した紙製のござを使用したオリジナル製品だ。

 2017年、畳離れが進む中で新たな商品を作ろうと、太田畳店3代目の太田成樹さん(41)が考案し、発案した。商品名は、店のある一帯に豊臣秀吉が築いた城郭「聚楽第」がかつてあった史実にちなんだ。

 寿楽臺は、フィギュアを置くための畳として人気を博した。さらに客の要望を踏まえ、ござ部分の色やへりの柄に工夫を重ねてきた。店頭で1500~3000円で販売するほか、太田畳店ホームページの問い合わせフォームからも注文を受け付け、遠隔地には発送も行っている。

 アマゾンで寿楽臺が転売されているのに太田さんが気付いたのは8月下旬。寿楽臺を「エゴサ」して検索していたところ、アマゾンで出品されているのを発見。値段を確認すると、太田畳店では2000円のサイズの寿楽臺が5400円で売られていた。

 アマゾンに出品した覚えはなく、出品者は聞いたこともない業者だった。アマゾンに問い合わせても当初は出品を取り下げることができなかったため、9月12日に寿楽臺が高値で転売されている事実について注意を呼び掛けるツイートを発信すると、1400回以上リツイートされた。その後、16日午前までにアマゾンでの寿楽臺の出品は取り消された。

 太田さんは「出品者が無在庫販売を行っていて『問題になるのでは』と消したのではないか」と推測し、「ぼくも職人であり商人だが、不当に高い値段で品物を売るような行為は腹立たしい」と転売業者に怒りを隠さない。

 さらに、通販サイトユーザーに対しては「転売業者に利益を与えないよう、正規の業者から適正な価格で購入してほしい」と呼び掛け、通販サイトに対しても「売られている商品が適正な値段かどうか調べられないものか」と提案している。

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