2024年1月より新NISAがスタートしましたが、現在の利用状況の実態はどのようなものなのでしょうか。株式会社ベター・プレイス(東京都新宿区)が、このほど実施した「新NISA利用状況調査」によると、NISAを知っている人のうち、「旧NISA・新NISAのどちらも利用したことがない」と答えた人は、三大都市圏で約3割、他地域では約4割となりました。また、利用しない理由については、いずれの地域も「投資に回すお金がないから」が最も多くなったそうです。
調査は、全国の20~59歳の男女368人(三大都市圏104人、他地域264人)を対象として、2024年3月にインターネットで実施されました。
なお、三大都市圏は、東京23区、川崎市、横浜市、さいたま市、相模原市、千葉市、名古屋市、大阪市、堺市、京都市、神戸市となっています。
まず、「NISAの認知度」について、「知っている」と答えた人は三大都市圏で58.6%、他地域では42.8%と15pt以上の差がみられました。
また、NISAについて「聞いたことはある」と答えた人(三大都市圏27人、他地域111人)に、「NISAが投資に関する制度であることを知っていますか」と聞いたところ、「知っている」と答えた人は、三大都市圏では81.5%、他地域では61.3%という結果となりました。
続けて、「NISAを知っている」と答えた人(三大都市圏61人、他地域113人)に利用状況を聞いたところ、「新NISAを利用していない(旧NISAは利用していたが新NISAは利用していない/以前は利用していたが利用していない/どちらも利用したことがない)」と答えた人は、三大都市圏で49.1%、他地域では54.9%でした。
なお、旧・新NISAを「どちらも利用したことがない」と答えた人は、三大都市圏では31.1%、他地域では41.6%と10.5ptの差がありました。
NISAを知っていて、旧NISA(一般・つみたて)、新NISAの「どちらも利用したことがない」と答えた人(三大都市圏19人、他地域47人)に、その理由を複数回答で答えてもらったところ、いずれの地域も1位「投資に回すお金がないから」(三大都市圏47.4%、他地域27.7%)、2位「特に理由はない」(三大都市圏31.6%、他地域25.5%)となったほか、「元本割れするかもしれないから」(三大都市圏15.8%、他地域23.4%)、「制度の内容を理解していないから」(三大都市圏15.8%、他地域2.1%)、「手続きが面倒だから」(三大都市圏15.8%、他地域19.1%)、という回答も挙げられました。
では、これまでNISAを利用したことがない人は、どのような状況になったら利用するのでしょうか。複数回答で答えてもらったところ、「給料があがったら」(三大都市圏47.4%、他地域36.2%)がいずれの地域でも最多に。次点以降をみると、三大都市圏は「利用はしないと思う」(31.6%)、他地域では「手続きが簡単になったら」(23.4%)が続きました。
なお、三大都市圏で「利用はしないと思う」と答えた人は他地域より12.5pt高くなったほか、他地域で「手続きが簡単になったら」と答えた人は三大都市圏よりも18.1pt高くなっていました。
次に、全回答者に対して「投資を始めるにあたって必要だと思うこと」を複数回答可で聞いたところ、いずれの地域でも「余裕資金」(三大都市圏60.6%、他地域65.5%)、「お金の知識」(三大都市圏53.8%、他地域57.6%)が上位を占めました。
また、「お金に関する情報や知識の取得方法」については、「インターネット検索」(三大都市圏48.1%、他地域46.6%)が最多となった一方で、「お金に関する情報や知識を取得していない」では、三大都市圏が24.0%だったのに対して、他地域では34.1%と10.1ptの差がみられました。
ちなみに、「NISAを知っている」と答えた人に、「NISAよりも税制優遇の効果が高い”企業年金”を知っていますか」と聞いたところ、「知っている」と答えた人は、三大都市圏で62.3%、他地域で48.7%と、三大都市圏が13.6pt高いことが分かったそうです。
これらの調査結果を踏まえて同社は、「NISAへの関心および資産形成に対する関心が低い傾向にあるということが浮き彫りになりました。これは、地方在住者が、金融リテラシーが低いということではなく、地方には上場企業やベンチャー企業が大都市圏に比べて少なく、成長企業に投資をして資産を増やすという実感が持ちづらいのかもしれません」と推察しています。
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【出典】
▽ベター・プレイス調べ