小豆雑煮って、ぜんざいとは違うの? 鳥取と島根の一部食卓で並ぶ雑煮「塩味と雑煮の甘さが絶妙に合う」

山脇 未菜美 山脇 未菜美

お雑煮と聞くと、どんな味や具材を思い浮かべますか? 赤みそに白みそ、はたまたすまし汁…。地域によっていろんな種類がある中、鳥取県と島根県の一部では元旦の朝、甘く煮た小豆に餅を入れた「小豆雑煮」を食べるという。一見すると、ぜんざいそのもの。地元の人はおせち料理とともにいただくといい「おせちの塩味と、雑煮の甘さが絶妙に合う」とか。

農林水産省が公開するネットサイト「うちの郷土料理」によると、小豆雑煮は、小豆の煮汁に柔らかく煮た丸餅が入ったもの。煮汁がたっぷり入ったものから、煮汁が少なく小豆がごろごろしたものまであり、味は砂糖で甘くしたもののほか、少数派だが塩味もあるという。「ほかの地域では、ぜんざいやしること呼ばれるものに近い」と書かれている。

でも、なぜ小豆なのか。「赤飯や小豆粥など、小豆は古くから祝いごとや祭りで使われていました」。そう説明するのは、鳥取県立博物館の学芸員で、民俗学に詳しい福代宏さん(54)。小豆の赤色は邪気を払う力があるとされており、ハレの日の食材として使われてきたという話もある。

起源は遅くとも江戸後期。鳥取地域を統括していた「大庄屋」と呼ばれる役人が、正月に食べたものを記録する書物に「元旦朝、小豆雑煮」と書いていた。ただ、いつ始まったかは分からず、「しゅうとめから嫁へというように、家庭内で伝わっていったのではないでしょうか」と分析する。鳥取の海岸部、島根の東部で小豆雑煮が習慣になっているといい、鳥取出身の福代さんの家庭でも、当たり前のようにおせち料理と小豆雑煮を一緒に食べているという。

一方、島根県は、出雲大社で振舞われた「神在餅(じんざいもち)」に由来してぜんざいの発祥地とも言われており、その影響もあるのではないかとの声もある。

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