「最期はどうありたい?」大切な人の終末期…過不足ない医療行為を 在宅で両親看取った医師が思うこと

ドクター備忘録

谷光 利昭 谷光 利昭

 昨年、一昨年と連続して両親が他界しました。コロナ禍の現在、入院すると面会ができない病院が多々あると思います。通常であれば入院しないといけない状態でしたが、両親ともに在宅で看取ることができました。

 父は突然他界しましたが、母は妻に背中をさすられているときに息を引き取ったようです。本当に幸せだったと思います。父、母の介護に携わって下さった多くの方々に心から感謝しております。

 コロナ禍で面会規制がある中、在宅で看取りを希望されている患者さん、ご家族は少なくないと思います。最期はどうありたいのか?日頃からよく考えなければなりません。病院とは違い、在宅でできる医療行為は本当に限られていますが、人生の終末期において、点滴をしたり、過剰な投薬をすることが本当に必要かどうかを考えなければいけません。

 大切な人が亡くなりそうな時に、我々は動転します。もっと長く生きて欲しい、傍にいて欲しいなど様々な想いをもって、その大切な人を応援します。しかしながら、過剰な医療行為は、その大切な人を苦しめることにもなりかねません。そこをよくよく考えて終末期の医療に携わることが必要です。

 例えば、最後まで点滴をして欲しいと懇願されるご家族はたくさんおられます。残念ですが、点滴で寿命を延ばすことはできません。点滴信仰は町医者をしていると時々見られます。「先生、風邪ひいたから点滴1本打って!!」。そんな人が一昔前は多くおられました。

 点滴を打って風邪が治った人もおられるとは思いますが、強力なプラシーボ効果だと考えられます。話がそれましたが、大切な人の最後だからこそ主治医とよく話をして、過不足ない医療行為を皆で考えることは非常に大切だと思います。

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