「転んでないけど、腰に強い痛みが…」それ、骨折してるかも? 「腰椎圧迫骨折」を医師が解説

ドクター備忘録

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 日頃から腰痛持ちの人でも、突然起き上がれないほどの痛みを感じたら「腰椎圧迫骨折」の可能性があるといいます。その原因や具体的な症状・治療方法などについて、吉田病院付属脳血管研究所(神戸市兵庫区)の吉田泰久院長に詳しく聞きました。

――腰椎圧迫骨折とは、どのようなものでしょうか?

一般的に「背骨」と呼ばれる脊柱は、頸椎から尾てい骨まで小さな骨がつながってできています。とりわけ腰椎は上半身を支え、日常的な動作や運動に欠かせない大切な骨ですが、この部分に外から圧力がかかって生じるのが腰椎圧迫骨折です。

――複雑骨折ということでしょうか?

手足の骨折とは異なります。圧迫骨折は、骨がポキッと折れてしまうのではなく潰れたような状態になることを指します。

――原因は何でしょうか?

骨密度の低下により骨の強度が弱くなっていることが挙げられます。骨密度が一定以上低下した状態を「骨粗しょう症」と呼び、高齢者、特にホルモン等の影響で骨密度が低くなりやすい女性に多い症状と言われています。

――どのようなきっかけで起こりますか?

転倒など大きな衝撃ではなく、ちょっと尻もちをついただけで骨折することもあります。ベースに骨粗しょう症があるため、些細な動作で体の重さによって骨が潰れ、変形してしまうのです。

――症状はどういったものでしょうか?

主な症状は腰の強い痛みです。寝返りや起き上がる時の動作でも痛みを訴えます。進行具合によっては神経障害が起こり、痛みのほかしびれが生じる場合もあります。

――転んだわけでもないのに急に腰が痛いとなると、患者さん自身では骨折していると気づけないかもしれませんね。

そうですね。ですので、動けなくなるほどの腰の痛みを感じたら、まずは背骨を調べていただきたいです。

――検査はどのように行いますか?

X線検査のほか、初期で骨折が分かりにくい場合はMRIを使って調べます。

――治療方法について教えてください。

一般的にはコルセットで腰部を固定し、安静にして自然に治癒するのを待ちます。また、最近はさまざまな手術療法が出てきており、例えば損傷した骨の部分にセメントを注入し、骨を支えつつ痛みを取るという方法もあります。

――腰椎圧迫骨折を予防する方法はありますか?

やはり骨粗しょう症が主な要因ですので、骨粗しょう症と診断された方は処方された薬をきちんと飲むこと。そして、バランスの良い食事をとること、特に骨の重要な構成成分であるカルシウムを十分に摂取するように心がけましょう。

◆吉田泰久 社会医療法人榮昌会 吉田病院 / 理事長兼院長 /
1952年12月の開設以来70年近くにわたり、神戸市の救急医療のなかでも脳卒中患者の診療を主に担い、急性期から回復期、在宅まで一貫した脳卒中治療を提供している。
診療科は、脳神経外科、脳神経内科、内科、循環器内科、リハビリテーション科

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