子どもの発達障害が周知されるようになってきて数年。いままで子どもが周りに迷惑をかけてしまったり、その場の指示に従えないことが「しつけ」や「親のせい」だと思われていた行動が、実は発達障害のために起こっていることだとだんだんと世間に広まりつつあります。その結果、わが子のことで心を悩ませていた親が前を向いていけるようになりつつあります。しかし、大人の発達障害やグレーゾーンの人にはなかなか気がつかないことも多いです。
もしかして発達障害があるのかも?
友人の同僚、Aさん(20代男性・正社員)は社会人5年目。とても愛嬌のある人ですが、確認不足などのミスを多発してしまうのが難点です。
Aさん自身は発達障害の診断はありません。しかし、もしかしたら発達障害があるのかな?と感じることがありました。
Aさんは電話応対などで、相手からの聞き取りがうまくできません。そのため、担当者につなぐ際、問い合わせ内容をしっかりと伝えられず、担当者が再度相手に聞き取りをしなくてはならなくなることがあります。
また、段取りを組むことや書類の不備が目立ち、そのため期日までに間に合わず周りに迷惑をかけてしまうこともしばしば。
しかし、本人はさほど気にとめていないような素振りを見せてしまうことで、さらに反感をかってしまうという悪循環になってしまっていました。
友人は「このままではいけない」と思ったそうで、少しでもAさんの力になれないかと働きかけてみることにしました。
息子に試していることを実践してみる
実は友人は発達障害(ADHDと自閉症スペクトラム)のある子どもを育てていて、日々さまざまなことを試していたと話します。その中から、
1)事前に段取りを組み立てる
2)重要なことはパソコンに付箋で貼り付ける
3)物事は1つずつ指示する
ということをAさんに実践してみたそうです。
自分で段取りを組み立てることが苦手だったAさん。まずはAさんがしなくてはならない仕事内容を聞き取り、それを口頭で伝えるのではなく、実際に書き出して段取りを組み立てて渡すことに。そして、最重要なものはAさんのパソコンに付箋で貼り付け。終わった物から剥がすようにしました。
また、1度にたくさんの指示をしても優先順位をつけることは難しいので、パニックを起こす前に、1つずつ指示をするようにしました。
すると、元々素直な性格のAさん。周りも驚くほどミスが減っていったのです。
発達障害ではなく個性
職場で周囲からお荷物のような扱いをされてしまっていたAさん。友人がこのようなサポートをすることで、効率が上がり仕事に対しての余裕が自信として表情に現れるようになったそう。「今でも、このやり方は私が発達障害のわが子にしている方法だとはAさんに話していないの」と友人は話します。
理由は発達障害としての診断や通院は周りから言われてではなく、自身で判断してほしいと思ったからだそうです。
Aさん自身を個性として捉え、進んでいけるようサポートしていきたいと話す友人がなんだか頼もしく思えた一件でした。