JR西日本は4月11日に「ローカル線に関する課題認識と情報開示について」と題して、輸送密度(平均通過人員)2000人/日未満の線区について、線区別の収支率を発表しました。
JR西日本によると輸送密度2000人未満の路線は今後の黒字化は難しく、自社だけでは路線維持は厳しいとのことです。
ついつい数字を追いたくなりますが、輸送密度2000人未満の線区を走る車両も気になることろです。
電化区間にはレアな車両がいっぱい
対象路線は17路線30線区にも及び、その中には山陰本線や紀勢本線などの「本線」も含まれています。輸送密度2000人未満という数字は廃線に極めて近いレッドゾーンと解釈できます。
現在でもJR西日本をはじめとする複数の鉄道会社は国鉄末期に成立した国鉄再建法を参考にし、輸送密度2000人未満の路線は鉄道以外の交通手段への転換や地元自治体が一部負担する上下分離方式の導入が適切、という声がよく聞かれます。
今回発表された30線区のうち電化区間4線区、非電化区間26線区です。このうち電化区間小浜線敦賀~東舞鶴間、加古川線西脇市~谷川間では1両編成で運行可能な125系が活躍しています。同車は小浜線、加古川線が職場なので、なかなかお目にかかれない車両といえます。
もともと125系は小浜線電化に合わせて2003(平成15)年にデビュー。車体は223系をベースにしながらも両方に運転台がつき、丸みもそれほどありません。2004(平成16)年には加古川線にも導入しました。ローカル線の普通電車ながら、転換クロスシート車なので快適な乗り鉄が楽しめます。
一方、紀勢本線白浜~新宮間の普通列車は227系2両編成、小野田線は123系1両編成が主役です。このうち123系は国鉄時代に荷物電車から改造され、現在では主に小野田線・宇部線で活躍する珍しい車両です。
非電化区間の主役は16m級のキハ120形
どちらかというと、レアキャラが多い電化区間でしたが、非電化区間は車両の共通化が進んでいます。JR西日本輸送密度2000人未満の非電化区間の主役はキハ120形です。
同車はJR西日本初の新製気動車として1991(平成3)年にデビューしました。全長18m・20m車が多い鉄道車両の中で16.3mしかなく、車端部の折り戸はバス用部品が使われています。ちなみにJR西日本では16m級の電車は存在しません。
もともとキハ120形はトイレがなく、青春18きっぷ利用者からは「要警戒」な車両としてマークされていました。2007(平成19)年3月までに全車にトイレが付き、長旅でも安心して利用できるようになりました。それでもロングシートが主体なので、旅人にとっては注意が必要な車両に変わりありません。
輸送密度2000人未満以外の路線では高山本線富山~猪谷間、津山線などで活躍しています。キハ120形以外では国鉄型気動車キハ40形列がよく見られます。珍しい車両ですと姫新線姫路〜上月間で活躍するキハ122系、キハ127系が挙げられます。
環境に良いのは鉄道かバスか
ところで今回の発表では鉄道利用が極端に少なければバスの方が環境面で勝っていることを証明しました。資料によると1両につき50人程度以上の利用がないと鉄道はバスよりもパフォーマンスが悪くなります。
参考までに先ほど紹介したキハ120形の車両定員は1両あたり100人超。全席埋まる程度以上の利用者がないと、環境面では鉄道は不利になる計算です。
もちろん環境面だけで鉄道路線の存廃を議論するのはナンセンスですが、なかなか厳しい現実を私たちに突き付けていることに間違いはありません。