「JR発足時の水準に逆戻り…」日中は1時間1本に JR西ダイヤ改正で、近畿でも近郊で続々と本数削減

新田 浩之 新田 浩之

JR西日本は3月12日にダイヤ改正を実施。近畿エリアでは末端区間と近郊線区で列車本数の削減が行われました。「どれくらい不便になったのか」を確認するべく、1987年のJR発足時と比較してみました。

近畿エリアにおいて日中間時間帯の列車本数が削減された線区は以下のとおりです。

▽姫新線 
姫路~播磨新宮 10時~14時台 毎時2本→1本
※一部姫路~余部運転

▽加古川線
加古川~厄神 9時~15時台 毎時2本→1本

▽嵯峨野線
亀岡~園部 11~15時台 毎時2本→1本
※対象種別は普通

▽湖西線
近江舞子~近江今津 10~15時台 毎時2本→1本
※対象種別は普通

▽琵琶湖線
草津~米原 9~15時台 毎時2本→1本
※対象種別は新快速/普通は毎時2本運行

▽草津線
草津~貴生川 11~14時台 毎時2本→1本
※平日のみ

▽学研都市線
同志社前~木津 11~14時台 毎時2本→1本
※対象種別は快速

▽万葉まほろば線
奈良~桜井 11~14時台 毎時2本→1本
※平日のみ

▽和歌山線
王寺~高田 11~14時台 毎時2本→1本
※平日のみ

このように前回のダイヤ改正と同じく、毎時1本のエリアが広まります。またJR神戸線、京都線の一部区間でも列車本数の見直しが行われました。

1987年のJR発足時と比較すると意外な結果が

ここで、対象になったいくつかの線区を取り上げ、JR各社が誕生した1987(昭和62)年のダイヤを確認しましょう。

琵琶湖線野洲~米原(東海道本線)の9~15時台は米原駅の隣駅、彦根駅発着の新快速が毎時1本、米原駅発着の普通が毎時2本運行されていました。国鉄時代、米原駅は名古屋鉄道管理局が管轄し、新快速は大阪鉄道管理局の東端駅である彦根駅止まりでした。新快速が米原駅に乗り入れたのは1988(昭和63)年のことです。

1987年当時、学研都市線(片町線)は減便対象区間の同志社前~木津を含む長尾~木津が非電化で、気動車(ディーゼルカー)での運行でした。長尾~木津の日中時間帯は普通列車が毎時1本のペースで運行され、長尾駅で京橋駅方面の電車と連絡しました。

同じく1987年当時、非電化区間であった嵯峨野線(山陰本線)亀岡~園部では11~15時台の亀岡駅発下り普通列車は計8本でした。今回のダイヤ改正では同時間帯の下り普通・快速列車は計6本(平日)なので、1987年よりも少ない、という結果になります。

このように見ると、上記の3線区は日中時間帯の列車本数に関して、JR発足時に戻ったもしくは少なくなったといえます。

一方、上記の3線区ともラッシュ時の列車本数は現在の方が多い、という点も見逃せないポイントです。

今後もJR発足時のダイヤに戻る線区が出てくるのか

対象線区では日中時間帯の列車本数はJR発足時と同水準、もしくは少なくなる一方、ラッシュ時間帯は変更されていないので、「メリハリの効いたダイヤ」とも表現できます。

今後も日中時間帯を中心に本数を減らす線区が出てくることでしょう。参考までに1987年5月時刻表を見ると、日中時間帯の普通列車の毎時1~2本線区は山陰本線京都~園部、奈良線京都~奈良、湖西線堅田~近江今津などが挙げられます。

いずれにせよ、今後のダイヤ改正にも注目していきたいと思います。

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