お菓子の会社がなぜ「発泡酒」「ネクタイ」を商品開発? ロッテが7年かけて立ち上げた新プロジェクトから誕生

松田 義人 松田 義人

「お口の恋人」をキャッチコピーに、「コアラのマーチ」「ガーナ」「ビックリマンチョコ」「クールミントガム」「雪見だいふく」など、チョコレート、ガム、アイスクリームなどの数多くのヒット商品を生み出すメーカー、ロッテ。そのロッテが今年、発泡酒やネクタイを開発しました。

ロッテの長い歴史を振り返ると、これまでにも市場の度肝を抜くような商品をリリースしてきたことは有名ですが、でも発泡酒やネクタイって、一体どういうことなのでしょうか。今回はこの背景と取り組み、肝心の商品についてご紹介します。

約7年間の歳月を費やし立ち上がった新プロジェクト「DO Cacao Project」とは!?

ロッテが発泡酒やネクタイといった、従来では考えられない商品をリリースした背景には、同社が立ち上げから約7年間の歳月を費やして誕生させた新プロジェクト「DO Cacao Project」にあります。

この新プロジェクトは、チョコレート製品の主たる原料のカカオ豆を「生産から携わりたい」という想いのもと立ちがったもの。「カカオとチョコレートの可能性を広げるイノベーショナルな商品を作る」といった思いから、スタッフが原産地・パプアニューギニアに赴き、長期間滞在。苗の育成確認、発酵試験といった数多くの試行錯誤を繰り返した結果、従来の使われ方以上のカカオ豆のポテンシャルを最大限引き出すことに成功したそうです。

他方、同時に「カカオの可能性はまだまだある」という想いも大きくなり、「チョコレート」を軸としながらも、これまでロッテだけでは取り組むことができなかった様々な商品にも外部パートナーとタッグを組みチャレンジしていくという、より大きなプロジェクトになっていきました。

 

外部パートナーと連携し誕生させた発泡酒、ネクタイ そしてロッテ独自開発のクラフトチョコレートとは?

例えば、チョコレートの製造過程で発生するカカオハスク(カカオ豆の皮)を有効活用し、生活に身近な商品の開発までを異業種の外部パートナーと共創するもので、従来以上にカカオやチョコレートの可能性を広げられるようになったとのことです。

これによって誕生したのが発泡酒、ネクタイ、クラフトチョコレートといったもので、いずれも数量限定で、オンラインショップなどの限定でリリースされました。

 

カカオを原料とした発泡酒(新感覚アルコール)「CACAO & HOP」は、100種類以上のビールを手がけるマイクロブルワリー・新潟麦酒と連携したもので、ロッテのアルコール商品としては初の試みになりました。ホップの華やかな香りに加え、カカオハスク特有の香りと苦味が印象的な大人の味に仕上がっています。結構ヤミツキになる味で、筆者もすぐに好きになりました。

 

またデザイン、企画、生産までを全て日本国内で行うネクタイ専門ブランド・giraffeとの連携で誕生させたのがネクタイ「CACAO TIE」です。カカオハスクから染料を抽出し、ボタニカルダイで染めた絹糸を使用し、京都の丹後にて生地を織っています。カカオハスクならではのやさしい色合いが特徴で、ボタニカルダイで染め上げた優しい色のトーンを活かしたデザインです。現在は販売終了となっていますが、「DO Cacao Project」プロジェクトを象徴するような有意義な商品だったように思います。

 

 

またプロジェクトの最初に開発したのが、カカオが持つフルーティーで力強い香りを活かしたチョコレート「DO Cacao chocolate」です。鮮烈なレーズン香と繊細な余韻を愉しむ一粒チョコレートで、使用するカカオの含有率が59%、70%と異なる2種をセットにして販売。それぞれの違いも感じられる点が楽しいですが、いずれも香り高い味わいに仕上がっています。

パプアニューギニアで「カカオが育つかどうか分からない」という環境からのスタートだった

「DO Cacao Project」の取り組みと、これら前例がなかった商品展開について、ロッテ担当者にも話を聞いてみました。

「一番大変だったのはパプアニューギニアでカカオ豆の生産から携わった点です。パプアニューギニアの地に長期間滞在し、約 5 年間にわたって現地の人々と共にカカオの栽培 農園を作り上げてきました。

まず、苗が実際に根付き、カカオが育つかどうか分からない、という環境からのスタート。何度も植えなおし、管理方法を試行錯誤し、1 年経った頃からようやく苗が定着。その後も、電気・ガス・水道といったインフラが整備されていないなかで、どのようにしたら満足のいく実験や商品開発ができるか、様々な工夫を行いました。

また、現地の方々と信頼関係を築くことも非常に大変でした。でも、それらを乗り越え商品化までたどりつけたことは非常に達成感がありました。

『DO Cacao Project』によって生まれた商品の中には、完売しているものもございますが、特に『DO Cacao chocolate』は弊社の研究担当が何度も現地に通い作り上げた自信作です。ぜひ噛まずに舐めて、そのフルーティーさをお楽しみいただきたい逸品です。

『DO Cacao Project』はカカオの可能性を広げるために様々な挑戦を今後もしていく予定です。今後の展開にご注目いただければ幸いです」(ロッテ・担当者)

ロッテが発泡酒やネクタイをリリースした背景には、こんな有意義な取り組みがあったというわけです。今後も「DO Cacao Project」により、新たな商品が登場するかもしれません。ロッテによる同プロジェクトの試み、今後も注目していきたいですね。

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